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「『仕事の厳しさ』『本物に触れる大切さ』を体で覚えてほしい」-東京工科大学・佐々木和郎教授

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 同大学と松任谷由実さんとの間の関係は、夫で作曲家の松任谷正隆さんが同大学で講義をしたことがきっかけ。その後、松任谷由実さんが毎年冬、苗場で実施しているコンサート「松任谷由実 Surf&Snow in Naeba」のホームページ「[Y MODE] NET MAGAZINE IN NAEBA」の制作スタッフとして、学生たちが参加することになる。

今年はそうした中から、松任谷由実さんの曲を題材にミュージックビデオを作って学生たちが対決する企画が持ち上がった。

‐今回の企画のお話が寄せられたとき、先生はどのように感じましたか?
佐々木 「今回の『ミュージック・ビデオ対決』はユーミンの新譜『そしてもう一度夢見るだろう』の楽曲のために、学生が自由にミュージック・ビデオを作らせていただけるという企画でした。学生にとって、これはあり得ないほどのものすごいチャンスです。 普段、映像制作を頑張っている学生に『どんどん挑戦するように』と声を掛けました。しかし実際には、松任谷正隆さんの期待に、本当にお応えできるのか、不安のほうが強かったというのが本音ですね」

‐制作を担当する学生はどのようなところから選んだのでしょうか?
佐々木 「基本的には、私の担当している、映像の演習授業を受講している学生の中から選抜しました。幸運なことに、東京工科大学・メディア学部での演習『ビデオクリップ・クリエイション』と、多摩美術大学・情報デザイン学科での演習『CGIワークショップ』の受講生の中から、やる気と才能にあふれた学生が積極的に参加してくれました」

‐制作作業に入ってから感じたことはありましたか?
佐々木 「トータルで25人の学生が参加しましたが、映像のアイデアは全員独特なものでした。制作手法も、アニメから特撮CGまでさまざま。全員がクリエーターとして『他人とは違う自分自身の映像世界』を追求する姿は、実に頼もしいものだと思いました」

‐今回、学生たちに特に指導した点は?
佐々木 「松任谷さんからの要望でもあったのですが、基本的には『学生の自由な創作』というのが今回の基本スタンスです。ですから、映像や音楽のデータのフォーマットなどについて、基本的な点を指導したくらいで、あとはすべて学生たちの自由にやってもらいました」

‐いろんなエピソードもあったと思います。
佐々木 「ユーミン本人が学生たちのカメラの前に立って歌ってくださるなど、普通では考えられないようなこともありました。この企画自体が大変な『エピソード』です。あくまでビギナーに過ぎない学生が頑張れるように、雲母社の皆さん、ツアースタッフの皆さんが、常に温かくサポートして下さいました」

‐学生たちにはどのようなことを学んでほしいですか?
佐々木 「プロの世界で活躍するスタッフに混じって、現場の経験をさせていただく中で『仕事の厳しさ』や『本物に触れる大切さ』を、体で覚えてほしい。仲間とともに力を合わせて仕事をすることの素晴らしさと難しさを知ってほしいと思います」

 制作された作品の配信はすでに終了。しかし、「プロジェクトをサポートして下さった、プロの皆さんの期待に応えて、いつか日本を代表するようなクリエーターに育ってほしい」と佐々木さん。大きく育った学生たちの作品をまた見ることができる日も、そう遠い日のことではないかもしれない。

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