八王子駅前のみずき通りで行われた「春のみずき通りフェスティバル」で4月22日、地上デジタル放送の仕組みを活用したエリアワンセグ実験が行われた。
ポシェットにワンセグ送信機を入れて登場した「リアルドロイ子ちゃん」
通信機器メーカー「エイビット」(八王子市南町)が行った今回の実験。同社が開発・販売している微弱ワンセグ送信機「ACS1000」を活用したもので、今回はグーグルが開発したOS「Android(アンドロイド)」をモチーフにした八王子オリジナルのキャラクター「ドロイ子ちゃん」の映像を周囲70センチの範囲に配信した。
「エリアコミュニケーションシステム」をうたう同製品。映像と音を活用したデジタルサイネージ向けの製品として開発された。ACアダプターのほか、単3型乾電池3本でも稼働し、本体には映像約15分にあたる2GBまでのSDカードを挿入することが可能。カードを入れ替えることで配信する内容を切り替えることができる。
今回は、エリアワンセグの存在を一般の人にも知ってもらおうと企画。「この送信機は小さな出力に設定されているので、ドロイ子ちゃんに近づかないと見ることができない」と同社営業本部の平井さん。「秘密のワンセグチャンネルを使っているので、うまくチャンネルを見つけた人だけが見ることができる」とも。
当日は同端末をポシェットの中に入れた「リアルドロイ子ちゃん」が登場。あいにく午後から雨が降り出したため移動しながらの配信はあまりできなかったが、携帯電話に映像を録画している人もいたという。会場で行われた八王子を題材としたインターネットラジオ番組「そんな感じでサタデーナイト」の公開収録にも登場するなど、イベントを盛り上げた。
今回の実験は「街の放送室」のプロトタイプという位置付け。「全国各地にネットワークで結ばれた放送局を作り、放送番組を共有することで、市民レベルで地元の文化を継承し発信することが可能」と平井さん。「将来は、みずき通りをカバーするエリア放送に拡大したい」と意気込む。
エリアワンセグは特定の狭い範囲をターゲットに独自の映像やデータを配信するサービスで、「スポットワンセグ」とも呼ばれる。携帯電話やスマートフォンなどワンセグ対応端末で視聴可能。無線局の免許は不要で、昨年4月から羽田空港で「羽田エリアワンセグサービス」の実証実験が行われるなど全国でさまざまな取り組みが進められている。