八王子の田町地区を舞台に5月20日、複合アートイベント「18.43 Festival」が開かれた。
田町地区で昨年11月ごろから活動を続けているアートプロジェクト「Tamachi Renovation Project(田町リノベーションプロジェクト)」が主催。大規模なイベントを行うのは今回が初めて。
当日は大通りの各所にテントを出しブースを展開。若手アーティストなどが参加して、ペンダントやストラップ、キーホルダー、フラワーアレンジメントなど多くのワークショップを開いたほか、チェロの演奏体験やライブイベント、会場に近いギャラリーカフェ「MODESTE」(八王子市元横山町3)では、「WIRED(ワイアード)」日本語版のアートディレクターを務めたことでも知られるグラフィックデザイナー・佐藤直樹さんらによるトークイベント「desart & dessert」を開催。周辺住民のほか、子どもや美術系の学生など約1000人が参加してイベントを楽しんだ。
同プロジェクトはTYRANT一級建築士事務所(明神町2)の松葉さんなど6人が、田町地区を歴史を踏まえたアートな街にしようと活動しているもの。田町は浅川の南岸、八王子駅から徒歩15分ほどの場所。戦後、売春防止法の施行で廃止されるまで約60年にわたって「八王子遊郭」として一時代を築いた。現在は住宅街となっているが、周辺には当時の建物も残っているほか、片側1車線、幅員18.43メートルの幅広い通りが東西方向に150メートルほど続いている箇所があり、遊郭が立ち並んでいたころの名残を随所に見ることができる。
同イベントのコンセプトは「一緒に作る」。作品を一緒に作るだけでなく、「地域住民とアーティスト、デザイナーが新しい田町を一緒に作る」ことを目的に同プロジェクトに参加した。八王子市議会議員として活動する及川賢一さんは「歴史的背景もあって、現在、人々があまり足を運ばない田町周辺地区を、アートをテーマに再び人々が訪れる場所としてリノベーションすることで商業機会を増やしたい」と話す。
今後もプロジェクトでは、イベントなどを通してアートに関する情報を発信していくほか、地域の祭事などのイベントとアーティストとの連携や実際にアーティストが田町に住み、働ける環境作りなどを目指していくという。