市内在住の外国人への支援活動などを展開する八王子国際協会(八王子市旭町)は10月から、外国人向けに地震発生時の対処法や避難場所などをまとめた「災害ヘルプカード」の配布を始める。
同会によると市内には現在、95カ国、9000人もの外国人が居住。留学生だけでも3000人にも及ぶ。これを受け、同会では外国人向けの無料専門家相談会や日本語ボランティアの養成、医療機関にかかる際の通訳の派遣、学習支援などの生活やコミュニケーションのバックアップなどを実施。「国際交流フェスティバル」など、さまざまなイベントも行っている。
昨年の東日本大震災を受け、災害時にどのように外国人をサポートするかをまとめようと、「災害時外国人対応要領」の策定を進める同会。「昨年の3月11日には電話も通じなかった。その時、取り残されたのは外国人」と同会事務局長の斉藤さん。「八王子で何ができるのか。それを考えた時、現実的な対応の第一歩としてカードに至った」
同会では地震発生時、外国人に市の避難場所である近隣の市民センターを訪ねるよう促し、ボランティアが向かうことで言語面などでサポートする計画を立てている。このため、カードでは氏名、性別、住所、緊急連絡先、国籍、言語、直近の避難場所を記入する欄を用意した上で、避難方法や実際の避難場所を地図付きで示した。「市民センターに行けばいいということを示した事が大きい」と斉藤さん。「どこに行けばいいかわかるだけでも不安は減らせると思う」とも。
カードは4つ折り、2枚組み。日本語に加え、英語、中国語、韓国語、スペイン語の4言語で表記した。「いろいろな言語で書かれているので、何回も読み直すなど大変だった」と同会の古川さん。東京都や他市町村で配布しているものなど、さまざまなものを参考にしながら制作したという。
10月以降、市内の公共施設やイベントなどの場で配布を進める予定。併せて、要領で決めたスキームが実際に動くかどうか、ボランティアなども交えた訓練も行っていく方針。