ソーラーカーが豪大陸へ向け出発-工学院大、今秋の世界大会へ向け

「ソーラーカープロジェクト」のメンバーと日本を旅立ったソーラーカー「Practice」

「ソーラーカープロジェクト」のメンバーと日本を旅立ったソーラーカー「Practice」

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 オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断する「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(WSC)」に向け、工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーカープロジェクト」が新たに開発したソーラーカー「Practice(プラクティス) 驍勇」が発送準備を終え、8月19日、チームの手を離れた。

テストコースを走り、チューンアップも進めた「Practice」

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 今大会に向け新たに作られた「Practice」。タイヤメーカーのブリヂストン(中央区)が、ソーラーカーレース用にチューンアップしたタイヤ「ECOPIA(エコピア)」を独占供給するほか、太陽光発電システムなどを手掛けるサンパワー・ジャパン(港区)がソーラーパネルを、ベアリングメーカーとして知られるNTN(大阪市西区)が特別仕様の軸受けを、帝人グループが車体に使われる超軽量の炭素繊維「テナックス」を提供するなど大手企業も協力し、開発が進められた。

 ここ1カ月は栃木県那須塩原市にあるブリヂストンのテストコースなどを使って、テスト走行とチューニングを進めるなど出発に向けた最終準備を進めてきた。「現地に到着してからは、あまり細かなことができないと考え、足回りのアライメントを綿密に行った」とプロジェクトの代表を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授。オーストラリアの道路の路面状況を考慮したうえで、足回りや空力デバイスなど走行の基本性能に関わる部分を念入りに調整。「ドライバーを含む重心バランスを考え、コンマミリ単位で非常に細かなところまで合わせ込みをした」という。

 テストを繰り返す中では発電に不具合が発生。「テスト走行後に徹夜を繰り返し、出力を最大化できるMPPTや配線を調整することで設計時通りの発電量を確認した」と濱根准教授。「徹夜後、そのまま昼から試験を実験したが、ついに希望する発電を観測したときにはチームから拍手が起こった」とも。テスト走行には国内で行われているレースの日数と同じだけの時間を取り、「走行と調整を繰り返したので、良いものに仕上がって出港できたと思う」と話す。

 大会に向けた準備は今後も続け、9月中旬にはドライバーやレースの戦略を練る先発隊がオーストラリアに向け出発する。「アデレードからダーウィンまでを逆走して、ドライバーがコースを下見し、データ戦略班がコースのデータを取得する」と濱根准教授。「出港で一区切りができたが、チーム戦略を9月上旬から仕上げていく」と意気込む。「5年前にチームが立てた理念、ビジョン、ミッションを基に製作した1号機から、設計思想は変えずに設計した2号機は大幅な性能向上が達成できた。これからも応援をお願いしたい」と呼び掛ける。

 WSCはオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまで約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレース。初開催は1987年。現在は2年ごとに行われており、今年で11回目。東海大学や八戸工業大学など国内から参戦するチームのほか、米・スタンフォード大学、英・ケンブリッジ大学など世界47チームと争う。

 今大会は10月6日~13日の日程で行われる予定。

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