八王子市内の多摩ニュータウンそばに、ヤギを放し飼いにする牧場を作ろうとNPO法人「YUGI」(八王子市堀之内)が準備を進めている。
農業を使って、まちづくりや地域活性化に向けた活動を行おうと今春設立された同NPO。今回は、京王線・京王堀之内駅にほど近い堀之内寺沢地区にある農園「YUGI MURA Farm」(堀之内)に、地域の人たちや子どもたちにも楽しんでもらえるようにと「ヤギ牧場」の開設を計画。既にヤギは3頭おり、8月中旬にも施設整備を始めることにしている。
東京・多摩地区の酪農の発祥地としても知られ、今でも酪農家が4軒ほどある同地区。自然を残しながら住宅地としても開発が進められており、「ここには自然があるからと引っ越してくる方も多い」と同会副代表理事で、2012年に八王子で初めて新規就農を始め、新規就農に向けた支援などを進めているFIO(堀之内)も手掛ける舩木翔平さん。新たに加わった住民も含めて、「つながれるような場所が作れないか」と牧場を作るアイデアが浮かんだという。
開設に向け、6月中旬から小屋や放牧場の整備費、新たなヤギの購入費の資金を集めようとクラウドファンディングサイト「READYFOR?」上で支援を呼び掛け。7月9日までの間に25万円を集めようとプロジェクトを進めている。
クラウドファンディングを使ったのは、地域住民以外にも興味を持ってもらうのが狙い。「関わってみたい人を幅広く集めたかったし若い人にも呼び掛けたかった」と舩木さん。2週間で6万円ほど集まるなど好評な滑り出しを見せており、「クラウドファンディングにどのくらいの波及効果があるか見たかったところもあるが、意外なほどに集まっている」と評価する。
集まった資金を元手に施設の整備を進め、今秋にも牧場オープンを予定する。感染症対策などもあって多くの牧場では中に入ることを制限していることも多いが、「ヤギ牧場」では一般もコミュニケーションが取れるよう工夫するほか、将来的にはヤギ乳の搾乳などにも夢を膨らませている。「酪農とはなかなか接点が持ちにくいと思うが、多摩の酪農の発祥地として、その火を消すことがあってはならない」と舩木さん。「通りがかる人の記憶に残るものができれば」と意気込む。