コニカミノルタ(千代田区)が8月28日、東京サイト日野(日野市さくら町)の地下水を地域の災害対応支援に活用する「救いの泉構想」などを含めた「防災中期計画」を策定した。
約15万平方メートルの敷地に1900人ほどが働く同所。情報機器事業やヘルスケア事業などの研究開発拠点として機能しており、毎春、サクラの咲く季節には「さくら祭り」を開くなど地域住民にも親しまれている。
現在、同所には地下約150メートルにまで達する井戸が13本あり、くみ上げた水は飲料水や手洗いなどの生活用水に使っている。今回の計画では、自然災害などの発生時にこの水を地域社会の災害対応活動に役立ててもらおうと構想を策定。2014年度~2016年度までの3カ年計画で、停電時にも井戸やろ過・殺菌装置などが稼働できるよう構内の自家発電装置の増強などを図っていく。
きっかけは、同所に近接する日野市立病院(多摩平4)から災害時の水確保について相談があったことから。これを踏まえて、昨年7月ごろから検討を進めてきたという。
もともと同所は、1936(昭和11)年に写真フィルムの一貫生産工場として開所。フィルム生産にはたくさんのきれいな水が必要なことから、地下水資源に恵まれたこの場所が選ばれたという経緯がある。「コニカミノルタの拠点には深井戸と飲料水製造設備を有するところが複数ある」と同社CSR・広報・ブランド推進部広報グループの土井さん。「災害時に最も困るのが水やトイレ。このことから、その拠点の特長に合わせた地下水活用による防災構想を『救いの泉構想』として計画・推進している」と話す。
今年末には停電下でも1日700トンの衣料水を確保できるよう準備を進めており、災害発生時、日野市立病院への人工透析用水や飲料水など病院運営に必要な水の供給についても検討を始めることにしている。土井さんは「『救いの泉構想』を通じ、当社の特長を生かして地域社会の課題解決に貢献していく」と意気込む。