京王電鉄は5月8日、2015年度~2017年度の中期3カ年経営計画を発表し、有料座席列車の導入に向けた検討を始めると明らかにした。
同社が中期経営計画を発表するのは、2010年5月以来5年ぶり。2015年度からの3年間で行う設備投資は2,195億円で、2020年の東京オリンピック開催も踏まえて、訪日外国人の増加をにらんだホテル事業の強化などを進める。
3年間の中では、有料座席列車の導入も検討。有料列車については、JR東日本が中央線快速電車で「中央ライナー」「青梅ライナー」としてサービスを提供しているほか、2月にはグリーン車サービスを2020年にも導入すると発表したばかり。京王線でも導入されれば、土曜・日曜・祝日の都心から高尾山方面に向かう観光需要や、「料金を払ってでも座りたい」という平日夜間帯の通勤客のニーズにも応えるものとなるが、具体的な導入時期や停車駅、料金などについては明らかにしていない。
そのほか、沿線拠点の活性化に向けた取り組みとして、高尾山エリアの魅力向上に向けた施策やシネマコンプレックスの誘致を含めた調布駅周辺の開発、安全性の向上などを狙った笹塚駅~仙川駅間の立体交差事業なども進める。
ホテル事業については、京王プラザホテル(新宿区)の改装を続けるほか、ビジネスホテル「京王プレッソイン」の出店も進める方針で、7月には「京王プレッソイン赤坂」(港区)をオープンさせるほか、2017年夏には東京駅周辺での新規開業も予定。他にも、2016年度に多摩市内にサービス付き高齢者向け住宅や介護付有料老人ホームをオープンさせるなど、シニア向け事業の拡大なども進める。
2014年度までは「転換と強化」と銘打ち、鉄道サービスへの投資に加え、沿線拠点における大型開発案件、訪日外国人向けのサービス強化などを進めていた同社。4月には京王高尾線・高尾山口駅の駅舎リニューアル工事が完了し供用を開始したほか、今秋には同駅前に日帰り温浴施設のオープンも控える。グループ各社も、京王プラザホテル多摩(多摩市落合)が内装などをサンリオのキャラクター「ハローキティ」で演出した「ハローキティルーム」をオープンさせたほか、京王電鉄バス(府中市)が高尾山を対象に訪日外国人向け日帰りバスツアーを開催するなど、さまざまなサービスを展開してきた。