東京都は2月5日、2009年度の「江戸東京・まちなみ情緒の回生事業」に中町周辺地域まちなみづくり協議会が行う「八王子中町の料亭街周辺の回生」を選定したと発表した。

　同事業は、地域を象徴する歴史的建築物や街並みが戦災や高度経済成長などを経た現在、大きく失われているとして、その街並みの回生を目的に2008年度から新たに始められたもの。街並みの回生を行うことが旅行者を引きつけることにつながるとして、観光を通した街づくりの一環として実施されており、事業は支援を受けた一般の団体が行う。

　2008年度は老舗飲食店などが密集している千代田区の神田淡路町・須田町や旧東海道の宿場として発展した北品川、映画「男はつらいよ」の舞台としても知られる葛飾区柴又の柴又帝釈天を中心とした地域を事業対象に選定。これらの地域では都からの支援を元に路面や植栽の整備、修景などが実施され、柴又地区では店に木調の看板を取り付けるなどした。

　2009年度の事業は昨年8月、市区町村の観光担当の部署を通して支援を希望する団体を募集。都は選定した事業に対して、2,400万円を限度に経費の5分の2を、市区町村を通じて支援する。

　甲州街道が通り、織物の街として発展した八王子は、芸妓だけで数百人、料亭も30軒以上が軒を連ねた花街としても知られていた。同協議会は、こうした八王子の情緒ある姿をよみがえらせ、街を活性化させようと八王子観光協会や市民ら約20人によって結成。歴史的建造物や街並みの保全、創出事業などを行っている。

　同協議会は今後、都の支援を元に行灯風街路灯の整備や外壁の黒壁風塗装などの事業を行う予定。