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八王子・高尾での自動運転バス事故、都が原因発表 古い目標位置の誤使用など

8月に行われた自動運転バスの実証運行の様子

8月に行われた自動運転バスの実証運行の様子

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 東京都が11月10日、八王子・高尾地区での小型自動運転バスの実証運行中に起きた事故の原因を発表した。

古い目標位置情報の誤使用などを事故原因とした

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 今回の実証運行は東京都が事業主体の「令和7年度自動運転サービスの導入推進に向けた走行環境整備に関するプロジェクト」の一環で行われた。日本工営(千代田区)が受託し、バスは西東京バス(八王子市明神町3)が運行した。

 自動運転バスのサービス実装などを手がけるBOLDLY(港区)の小型EVバス「E-City L6」を使った。実証運行は8月23日~31日、高尾駅北口~高尾台住宅間の「住01」系統を基にしたコースで行う予定だった。

 時速約20~25キロで国道20号を走行していた自動運転バスは29日11時31分ごろ、左に急旋回し街路樹に衝突した。衝突時は時速約10キロだった。当時、乗客・乗員合わせて15人が乗車。この事故でバスのフロントガラスが損傷し、乗客3人が軽傷を負った。東京都では事故発生を受け、実証運行を即日中止した。

 都は受託者からの報告を受け、有識者の知見も踏まえて検証を行った。直接的な原因は設計に不備があり、使うべきでない古い目標位置情報を誤って読み込み、その位置に戻るためシステムが急ハンドルを切ったためと結論付けた。不備は開発段階から存在しており、シミュレーションでも再現されたという。

 時速約30キロでの走行時は横滑りや横転防止のため急ハンドルの指示ができない仕組みを設けていたが、時速約20キロの低速走行時では急ハンドルが実行できるようになっていた。さらに、タイヤの向きを考慮しない進路指示が出されたことで、車両が軌道を追従できずに左にそれ、街路樹に向かったという。カメラやセンサーを使った制御機能はあったが、独立した衝突回避機能はなかった。

 都は改善に向けた方向性として、車両制御機能の情報を時刻で管理し誤使用を防ぐことや、急ハンドルの動きを制御する仕組みの導入、既存システムへのタイヤの向きを考慮する改良、独立した衝突回避システムの導入を挙げた。具体的な再発防止策は年内にもまとめる予定という。

 西東京バスは、実証実験で使った車両と同等性能の小型EVバスを購入し、国への認可申請などの手続きを行った上で、今冬にも自動運転バスの通年運行を始めることを目指している。

 都の発表を受け、西東京バス広報担当者は「自動運転バスは、運転士不足など社会的課題の解決に資する施策であるとともに、地域住民の足として路線バスを安定的に運用するための重要な取り組み。当社は再発防止策を徹底した上で、再び取り組んでいく」と話す。

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