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日野市立中央図書館が国登録有形文化財に 文化審議会が答申

国登録有形文化財への登録が答申された日野市立中央図書館

国登録有形文化財への登録が答申された日野市立中央図書館

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 国の文化審議会が11月21日、日野市立中央図書館(日野市豊田)を登録有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申した。

日野市立中央図書館の外観

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 豊田駅南口から徒歩6分の場所にある同館。地上2階、地下1階建て。蔵書数は約29万冊で、日野市の市立図書館としては最大規模となる。1973(昭和48)年4月に開館し、2019年に大規模改修された。2023年に開館50周年を迎えた。

 登録有形文化財の登録基準は、建築から50年以上が経過し、「歴史的景観に寄与している」「造形の規範となっている」「再現することが容易でない」のいずれかに該当するものとしている。

 文化審議会は今回、同館が「造形の規範となっている」に該当するとし、「現代公共図書館の起点となった建築」と評価した。日野市内の登録有形文化財は、2017(平成29)年6月に登録された「旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室」(日野本町)以来2件目となる。

 日野市の図書館は、初代館長を務めた図書館学者・前川恒雄さんの理念を基に、1965(昭和40)年に移動図書館として始まった。それまでの資料の閲覧ではなく貸し出しを重視する姿勢を取ったことから、「日本の公共図書館のモデル」とも呼ばれる。

 1966(昭和41)年に開館した高幡図書館(三沢4)を皮切りに常設図書館の設置が始まり、移動図書館の開設から8年後の1973(昭和48)年に、中央図書館が開館した。同館は前川さんが掲げた「親しみやすく入りやすい」「利用しやすく働きやすい」「歳月を経るほど美しくなる」などの基本方針を踏まえ、「日本の図書館建築の第一人者」と呼ばれた建築家の鬼頭梓さんが設計した。

 日野市の広報担当者は「外観はレンガを積み上げたものであり、レンガと大谷石による厚みのある素材感と開館から50年以上を経過した図書館の歴史を感じさせる風合いを帯びている」と話す。

 2015(平成27)年には、近代建築の記録・保存にかかわる活動を行っている国際学術組織「DOCOMOMO(ドコモモ)」の日本支部「DOCOMOMO Japan」が、同館を「残すべき日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選んだ。

 日野市は同館の国文化財登録を目指して、昨年12月に同館の建築を紹介する講演会や見学会を行った。その際、市は「前川恒雄と鬼頭梓の思いが生み出した中央図書館は、日野市のみならず日本の公共図書館の歴史を理解するうえで欠くことのできない施設。建築史においては、鬼頭梓の代表作として重要であることから、図書館史と建築史の両面において文化財としての価値が極めて高い」と説明していた。

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