東京造形大学附属横山記念マンズー美術館(八王子市宇津貫町)で11月9日から、同大学卒業後、デザイナーとして活躍している人たちが携わった製品を展示する「造形のデザイン展-モノから社会を学ぶ-」が開催されている。
同展は昨年11月に行われて以来2回目。前回は「インハウスデザイナーの仕事」をテーマに、卒業後、花王やサンリオ、セイコーエプソンや日産自動車などの企業に就職した卒業生が制作したプロダクトデザイン、グラフィックデザイン、パッケージデザインなどを展示。パネルディスカッションや解説を受けながら展示を見る「ギャラリートーク」も行った。
「学生の多くが、卒業後の進路として『企業への就職』を選択する」と同大担当者。しかし、「日常生活において、商品と卒業生の仕事が結びつく機会は少ない」という。そこで、実際に製品に触れ、また、デザイナーとコミュニケーションを取ることができる場を設けることにした。「『企業で働く』ということをイメージし、それを各自の就職観、職業観の育成や、昨今その必要性が高まっている『キャリア形成』につなげていきたい」。
コンセプトは「卒業生が社会で携わった作品を通じて、学生に社会を学ばせること」。このため、製品を展示するだけではなく、開発段階など製品化までのプロセスも併せてパネルなどを使って紹介し、デザイナーが製品に込めたメッセージを理解することができるようにした。「美術系大学である本学で養った発想力、創造力、企画力、表現力などをどのように発揮しているかも感じてほしい」。
今回はシャープ、セイコーウオッチ、トヨタ自動車など計10社が協力。シャープの液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」など、同大学を卒業した12人のデザイナーがこれまで作ってきた製品が並ぶ。「普段から見慣れたデジタルカメラや腕時計、液晶テレビやキャラクターグッズなどの開発段階にかかわってきた本学卒業生の活躍を実感できる」と担当者。「近隣の方や小中学生などにも、楽しんでいただける」。今月26日にはパネルディスカッションも行う。
開館時間は10時~16時30分。日曜・祝日休館。今月28日まで。