「八王子学生CMコンテスト」の上映会と授賞式が2月1日、八王子市学園都市センター(八王子市旭町)で行われた。
大学コンソーシアム八王子(旭町)が主催する同コンテスト。同団体に所属する大学や市内にある専門学校に通う学生、市内在住の学生を対象に、昨年5月から11月にかけて30秒のCM作品を募集した。これまでのテーマは「八王子で暮らす」。今回のテーマは「八王子で学ぶ」で、35作品の応募があった。
当日はCMを制作した学生が見どころなどを紹介した上で作品を上映した。審査員は、電通クリエーティブディレクターの岡野敏之さん、「J:COM(ジェイコム)」多摩事務所チーム長の宮山透さん、初宿和夫八王子市長が特別審査員、同コンテストワーキンググループのメンバーが務めた。
審査の結果、多摩美術大学大学院演劇専攻修士2年の奥山樹生さんが制作した「ドクター肥沼の桜」が最優秀賞に選ばれた。そのほかの受賞作品は以下の通り。八王子市長賞=中央大学「ドローン研究会」の「あなたの学びも、きっと見つかる。」、審査員賞=中央大学「SANY」の「21歳、八王子からの∞(無限大)の可能性」、中央大学「Studio なべ」の「学べる八王子が私は好きだ。」、東京薬科大学・毒島夏未さんの「9科目の八王子」、特別賞=日本工学院八王子専門学校「放送芸術科5班」の「時を紡(つむ)ぎ続ける桑都」、法政大学「藤田ゼミ25期1班」の「八王子スゴロク」。
市長賞の受賞作品について、初宿市長は「新宿の大型ビジョンのように、この作品がどの場面で流れるかを想像して作品を選んだ。多くの情報があふれ、前後に異なる情報が流れ、行き交う人々もさまざまな思いを抱えて歩いている。そのような状況で、ふと目にとどまるような映像かを重視した。私自身、長く新宿に勤めていた経験から、この映像がふと目に入ってくれば記憶に残るだろうと感じた。ほかの情報が流れる中でも、受け手の心に残る作品になるのではないかという期待を込めて選出した」と話す。
岡野さんは今年の作品について、「非常に審査が難しい年だった。僅差の接戦だったと感じる。最優秀賞の作品はアニメーション作品だったが、今回の『八王子で学ぶ』というテーマを一番うまく整理できていた。本来、CMは商品やサービスによって視聴者にどうなってほしいのかという望ましい姿や態度の変容を促すもの。最優秀賞の作品は、八王子で学ぶことが世界につながっていくというメッセージにより、八王子で学ぶことのメリットをきちんと提示できていた。その点でほかの作品よりも頭一つ飛び抜けていた」と話す。
昨年に続いて、2度目の最優秀賞を受賞した奥山さんは今回、八王子市出身の医師で第2次世界大戦後、感染症の治療に尽力し独・ヴリーツェン市で亡くなった肥沼信次を題材にCMを制作した。
「八王子という街は多様なルーツを持った人や、多様な事情を抱えた人がいる『多様性のある学園都市』だと思う。だからこそ、そうしたメッセージを八王子から発信することの重要性を考え、肥沼信次の背中から学ぶものを作品にしたいと思った。作中に登場する桜は、目で見たり、花びらに触れたり、匂いを嗅いだりと、どんなルーツを持つ人にとっても変わらない存在。本当の学びは差別や分断ではなく、優しさのあるつながりを生み出すもの。そのことを心に刻んで、これからも優しさを信じて生活していきたい」と奥山さん。
「アニメでありながら内容はシリアスなので、親しみやすさとメッセージ性のバランスには苦労した。普段、市民活動をしている方と出会うことが多く、そこから、ドクター肥沼のことを知った。『こういう歴史が八王子にあるんだ』という発見と、八王子の多様性を発信できる意味のある映像を作りたいと思った。意外と自分の伝えたいことは30秒でも人に伝わるのだと感じた。これからも人に伝えることを諦めずにやっていこうと思えたことが、自分にとっての学びだった」とも。
受賞作品は国道20号・横山町交差点にある街頭ビジョン「YY VISION」(横山町)で通年上映するほか、2月21日~27日、新宿駅東口にある「ユニカビジョン」でも上映する予定。