八王子市芸術文化会館(いちょうホール、八王子市本町)で12月5日、「ガスパール・カサド国際チェロコンクール in 八王子」の本選が行われ、アメリカ出身で17歳のチェリスト、マシュー・アーレンさんが優勝した。
同コンクールはスペイン・バルセロナ出身のチェリスト、ガスパール・カサドの妻でピアニストとして知られる原智恵子さんが1969年から1990年までの間、イタリア・フィレンツェで開催していたもの。原さんはその後日本に帰国。2001年に亡くなったが、その遺志を受けた八王子の市民有志がコンクールの再開を計画。2006年11月、16年ぶりに復活を遂げ、今回、3年ぶり2回目の開催となった。
今回はアメリカ、ロシア、フランス、ポーランド、スペイン、イタリアなど、世界から男女合わせて22カ国、57人のチェリストが参加。先月27日から同所で予選を開始し、本選へ進む「ファイナリスト」としてアーレンさんのほか、フランスのトリスタン・コルヌさん、イスラエルのミハル・コールマンさん、そして、日本から辻本玲さんの4人を選んだ。
日本人は19人が参加したが、第2予選まで進んだのはわずか4人。「世界の壁を痛感する」(同コンクール関係者)。日本人が同コンクールの本選へ進んだのは今回が初めて。
5日の本選には会場に市民など約800人が駆け付けた。ファイナリストはそれぞれ課題曲を東京フィルハーモニー交響楽団とともに演奏。審査の結果、優勝と聴衆賞をアーレンさんが受賞した。
今回のコンクールの開催に合わせ、予選が開始された先月27日からアートイベント「エントランス・ザ・カサド」を市内各所で実施。ワークショップや商店などをアート空間に変える「まちなかギャラリー」などの数多くの企画が繰り広げられた。