檜原村が昨年4月に「檜原村企(起)業誘致優遇制度」を創設してから1年が経過したのを受け、現在の利用状況や今後の見通しを聞いた。
檜原村は本州にある東京都の中では唯一の村で、人口は3月1日現在で2,753人。八王子市やあきる野市、奥多摩町などと隣接しており、その豊かな自然環境を活かした産業や観光が根付いている。
同制度は地域経済の発展と村民生活の向上を図る目的で昨年4月1日に施行。従業員の半分以上を村民の中から雇用することなど、一定の要件を満たした企業や起業を希望する人に対して、操業助成金や雇用促進助成金などさまざまな優遇措置を用意している。「これまでの支援制度については、村内住民や地域への活動支援などが行われてきた」と同村役場企画制作室の藤原さん。「少子高齢化の進む村での地域の活性化を図るため、村の政策の一つとして導入することになった」。
大規模な企業だけでなく、中小企業も対象とした制度設計となっており、要件の中に「地域の特性に適合し、環境の保全に必要な措置が講じられていること」を組み込むことで、環境保全に関連する企業の誘致や起業を特に求めている。「自然豊かな檜原村であるからこそ、環境面を考慮した制度となっているところが特徴」。
制度創設から1年が経過したが、今のところ制度を利用した企業はなく、「実際に起業された方もいない状況」。しかし、これまでの間に「木材加工業や食品関係業からの問い合わせは数件あった」という。
「檜原村は全体の約93%が山林で、そのうちの大半がスギ、ヒノキといった人工林となっている。その木材を利用した業種の誘致ができれば」と藤原さん。「地場産材を利用した木材加工業者の具体的な誘致案が現在進められている」と今後に期待を寄せる。