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八王子でアワビの陸上養殖に成功-「森のアワビ」で商標登録

すし職人の手で調理された、八王子産養殖アワビを試食している様子

すし職人の手で調理された、八王子産養殖アワビを試食している様子

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 精密機械の加工などを行うアミネックス(八王子市散田町3)で6月23日、「閉鎖循環型陸上養殖」によるものとしては全国で初めてとなるアワビの試食会が行われた。

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 閉鎖循環型陸上養殖は、養殖の際に発生した汚水をろ過や殺菌などを通して、きれいな水にし、再び水槽に戻すタイプの養殖のこと。広大な敷地を必要とせず、閉鎖された空間の中で養殖を行うため、外気の環境に影響されにくいという特徴がある。八王子でのアワビの養殖については、同社の関連会社で機械加工などを行うエクセル(台町4)と国立東京工業高等専門学校(椚田町)が2008年6月から共同研究を行っており、同社工場内に養殖施設を作りアワビを育ててきた。

 社員15人ほどの中小企業。八王子からアワビを商品化しようと、2007年5月には「森のアワビ」の名で商標を登録。暗く静かなところを好むアワビの性質と語感のよさから名前を付けた。その後、工場内の6畳ほどの部屋に水槽を持ち込んで研究を始めた。開始時に投入したアワビの数は400匹。「2メートル40センチの水槽2つと、ろ過装置を設置して養殖している」と同社の平間さん。水道水に塩分やミネラルなどを追加した「人工海水」を使用し、排水を使ってマングローブなどの植物を水耕栽培する研究を進めるなど、環境にやさしい養殖の形を追求。現在、130匹のアワビが成育している。「生存率は現在主流の海面養殖、かけ流し養殖と遜色(そんしょく)ない」。

 苦労したのは、1年を通して水温を20度に保つこと。1.2トンもの水を一定の温度に保つため、あえてエアコンを使って外気温を調整する形をとった。「水を直接その温度に保つのはコストもかかるので大変」と平間さん。「エアコンで温度を調整して、それを水温に反映する形をとった」。アワビは研究開始時から3倍以上の大きさにまで成長。現在、約140グラム、11センチほどまで育った。「ここでは既に手狭。場所を移して規模を大きくする予定」。ただ、規模が大きくなれば水温を保つために断熱材が必要になるなど、考慮すべきことも増える。排水利用の研究も課題。「商品化はまだまだ先」とも。

 当日は報道関係者など40人が会場に詰めかけ、地元のすし店「あら井鮨」(中野上町3)から職人を招き、アワビを調理してすしや焼き物にして振る舞った。参加者からは、「コリコリしている」「ちゃんと潮の香りがする」などの感想が寄せられた。

 「将来的には『森のアワビ』にふさわしく、森の中の空き工場や倉庫などで大規模にやりたい」と平間さん。事業化へのめども立ってきたことから、「八王子の人など興味がある人とはぜひ一緒にやりたい」と意気込む。

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