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新型風車で風力発電-工学院大学、民間企業と共同研究進める

工学院大学八王子キャンパスに設置されている「直線翼縦軸風車」。風向きの影響を受けない垂直の軸を持たせることで、さまざまな方向から風が来る日本の状況に適応する。

工学院大学八王子キャンパスに設置されている「直線翼縦軸風車」。風向きの影響を受けない垂直の軸を持たせることで、さまざまな方向から風が来る日本の状況に適応する。

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 工学院大学(本部=新宿区)と工藤建設(岩手県奥州市)は9月1日、同大学八王子キャンパス(八王子市中野町)の校舎屋上を使って「垂直縦軸風車」の実用化に向けた共同研究を始めると発表した。

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 研究は、工学部機械工学科流体工学研究室を率いる水野明哲同大学学長を中心に進められているもの。現在、風車は風を受ける翼と回転軸を風向きに対して平行につけた「プロペラ型」が多いが、今回は翼の部分を垂直に取り付けた「垂直縦軸型」を採用している。

 同型の最大の特長は、翼を風向きに対して向ける必要がない点。そのため、「シンプルな構造で製作も簡単。コスト的に有利で、さらに静音性にも優れている」と同大学広報部の加藤さん。「市街地やビルでも設置でき、個人住宅でも購入可能な低価格で提供できる」という。

 一般的なプロペラ型の風車は航空力学がベース。しかし、「垂直縦軸型は流体力学による確かな理論や技術による研究がされていなかった」と加藤さん。このため、既に実用化はされているものの、「発電効率が悪く、実用性のある製品は出荷されていない」という。

 同研究室では10年以上前から研究を進めており、翼の表面に凹凸をつけることで性能を向上させる「乱流形成促進装置」を考案。同装置に関する特許も取得している。今回は産学連携や研究成果移転、特許化支援などを行っているタマティーエルオー(八王子市旭町)が仲介し、既に同型の風車を使った風力発電システム開発の事業を行っている同社と共同研究を進めることになった。

 今回の共同研究では、風速0.5メートル毎秒程度でも発電できる高効率の風車を開発するのが目標。新エネルギー・産業技術総合開発機構が進める「2010年度新エネルギーベンチャー技術革新事業」にも採択された。「家庭用の電力をまかなえる実用化の目途がたち、研究予算の支援も承認され、共同研究に着手できる」と加藤さんは今後に期待を寄せる。実用化に関しては「高速道路における導入をにらんで、関係各社と協力して市場を開拓していく」という。

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