マスコミ向けにマーケティング支援事業を展開しているエイスリー(八王子市高尾町)は10月から、新たな事業として声優やDJを使った「テレフォンアポイントメント代行サービス」を始める。
同社は、「ホリプロ」(目黒区)の元マネジャーが中心となって2008年10月に設立。出演者や制作スタッフ、マネジメントスタッフなどを対象に、撮影現場や収録現場で食べられる「ロケ弁当」と併せて配布するフリーペーパー「mogmog(モグモグ)」を隔月で発行しているほか、企業の商品を口コミで宣伝する「バイラルマーケティング」を読者モデルが運営するブログで行う「読者モデルブロガーネットワーク」なども展開している。
社長の山本直樹さんが、ある新人声優と仕事をする機会を持ったことが今回の事業のアイデアにつながった。「新人だったのにもかかわらず、あまりの声のプロぶり、対応能力にびっくりした」と山本さん。「しかし、若手は仕事のチャンスが少なく食べていくのも大変。声優やDJ以外に活躍できる仕事があるのではとその場で思った」。
事業化までには半年ほどの時間がかかった。「真っ先に頭に浮かんだのはコールセンタービジネス。自分自身も電話を受けたり問い合わせの電話をかけたりするが、見えない人の声や印象、キャラクターはテクニックだけではクリアできない大切な部分だと感じている」。しかし、コールセンターを立ち上げるには多額の投資を必要とすることなどから、「テレアポ代行」という形に行き着いた。
高尾周辺に新たにオフィスを借り、10人程度の体制で事業を始める。企業の商材や営業先などに合わせて、アポインターの声やトーク、キャラクターなどを指示できる点が最大の特長。「既につながりのある会社から依頼も来ている。営業力が不足しているベンチャーは多いのでどこでも興味を持っていただける」と山本さん。費用は1コールあたり150円程度と他社サービスと同程度にする予定。
人材は「知り合いや過去につながりのあった声優、声優事務所、学校などに声をかけ集める」と山本さん。「オーディションやレッスン、仕事の合間にできるものにしたいので、大人数を囲い込む必要がある」。契約形態はアルバイトで、勤務体系も柔軟に対応するなど、夢を追いかける人たちを支援する形をとる。「300人程集まればいろいろなアイデアも出てきて面白い展開になるのでは」とも。
ホリプロのマネジャー時代は担当タレントのアルバイト先を探したこともあるという山本さん。「各事務所のそういう受け皿にもなれれば」と新事業に期待を込める。