音響機器メーカーのティアック（多摩市落合）は12月上旬、iPhone・iPadなどに対応する外部マイク「iM2」を発売し、併せて、リニアPCMレコーダーアプリ「PCM Recorder」の無料配布をiTunes Storeで始めた。

ドックに接続するマイク「iM2」

　同社は1953（昭和28）年に誕生した老舗音響機器メーカー。今回は放送機器など業務用音響ブランドとして展開する「TASCAM」ブランドの製品として、それぞれ発表された。

　11月にリニアPCMレコーダー「DR-100MKII」を発表するなど、これまでにさまざまなポータブルレコーダーを開発してきた同社。これらの機器を開発する際に行うサンプル音源の収録で、アーティストがiPhoneで録音する風景を見かけたことや社内でもiPhoneユーザーが増えてきたことが今回の製品を開発するきっかけになった。

　「録音したい瞬間はいつ来るかわからない」と同社担当者。iPhoneにはマイクが備え付けられており、「ボイスメモ」アプリも存在するが、「ただ録音するものなら他社でも作れる」とCD音質で録音が可能なリニアPCM方式のマイクとアプリを開発することにした。「iPhoneは携帯電話で日頃持ち歩くもの。これを使うことで、ちょっとしたものを高音質で録音できないかと考えた」

　「iM2」はiPhoneなどのドックに接続する外部マイク。持ち歩きやすいよう、幅＝約5.9センチ、高さ＝約5.7センチ、奥行き＝約1.9センチ、重さ＝30グラムのサイズに収めた。単一指向性のステレオコンデンサーマイクを採用し、大音量に対応するアナログリミッターや音の方向に対応してマイクを180度回転できる「バリアングル機構」などを搭載。長時間録音の中でも電池切れしないようにと、iPhoneなどを充電できるmini USB端子も備える。

　「PCM Recorder」は、16ビット、44.1kHz、WAV形式での録音に対応するアプリ。騒音をカットするローカットフィルターやレベル調整、イコライザーなどの機能を搭載。ユーザーが触れる部分は既存製品と同様の操作ボタンを採用したほか、「iM2」を接続して上に向けると、iPhoneの上下も逆転することから、アプリも回転させるなど使いやすさにこだわった。音楽共有サイト「SoundCloud」へのアップロードなどにも対応。

　「レコーダーなどの製品と対立するものではなく、ちょっとした時に録音できるものとして、すみ分けできる。よりよく録音したいという方は併用していただければ」と担当者。

　「iM2」はiPhone 4、iPhone 4S、iPad、iPad 2、第4世代以降のiPod touchに対応。価格はオープン。「PCM Recorder」はiOS 4.3以降に対応。