八王子駅北口の駅ビル「八王子ナウ」(八王子市旭町)の屋上遊園地「ナウプレイランド」が6月3日、閉園した。
アミューズメント施設の運営・管理などを行う吾妻(中野上町)が運営する同園。1983(昭和58)年のオープン以来、約28年にわたって親しまれてきた。園内では場内を走る「蒸気機関車☆ケンタッキー号☆」やクマの形をした巨大トランポリン「トランポリン・ジャイアントベアー」など、134台のアトラクションを展開。年間で約4万5000人が利用していた。
東日本大震災や1月末のそごう八王子店の閉店などの影響を受け、客数が減少。「2月は地獄のようにお客さまがいらっしゃらなかった」と店長の財津さん。今秋には北口駅ビルがショッピングセンター「CELEO八王子・北館」としてリニューアルを図ることもあり、閉園が決まった。
5月7日からは一部のアミューズメントの利用料を半額にするなど閉園に向けたサービスを開始。祖父、祖母と子ども連れという客層が多く告知は難しかったと振り返る。「最終的には電話作戦などいろいろやった。おかげさまでここ2~3週間は非常に利用客が多かった」と財津さん。「『寂しい』『ショック』『残念』『続けてほしい』などさまざまなご意見もいただいた。皆さん思い入れがものすごくあって、それを受け止めるだけで精いっぱい」とも。
園内に設置されている遊具「海賊船」は、5月20日ごろから寄せ書きコーナーに変身。同15日に46年の歴史に幕を閉じた第一デパート(立川市)の「コトブキヤ 立川店」を財津さんが訪れたことがきっかけになった。「大好きなお店で、その壁に寄せ書きコーナーがあった。それがすごく熱くて、うちでやるならば海賊船だと思った」と財津さん。
遊具には、「28年間お疲れさま」「長い間ありがとう」「小学校のころよく来ました」「高校3年間の青春でした」など数多くのメッセージが書き込まれ、営業最終日にはスペースがほぼ残っていなかった。「最初は埋まらないだろうと思っていたら、1週間で150~200くらいのメッセージが来て、今はもう数えきれない」と財津さん。「じっくり読むと泣いてしまう。閉園後にスタッフと細部まで読ませていただこうと思っている」と話す。
最終日はスタッフがコスプレをして客を出迎え。「楽しくやろうというところから始まった企画。そうしたら、お子さんがシンデレラの格好など仮装してきてくれたりして、びっくりした」と財津さん。当日は記念撮影をしながらアトラクションを楽しむ人の姿も数多く見られ、最後の営業を楽しんだ。
「今まで気軽に遊べる場所として市民の皆さんに親しまれてきた」と財津さん。駅ビルのリニューアル後も、「今までのように3世代で楽しめる空間を作ってほしい」と期待を込める。