イトーヨーカドー南大沢店(八王子市南大沢)は7月30日、同社としては都内初となる移動販売サービス「イトーヨーカドーあんしんお届け便」の運用を始めた。
店舗で扱っている商品をトラックに詰め込み、地域の集会所などで巡回販売を行う同サービス。同社としてはアリオ上田店(長野県上田市)で2011年11月に始めて以来、全国で3例目となる。
今回、移動販売は多摩ニュータウンの豊ケ丘団地(多摩市豊ヶ丘2)をはじめとした多摩市内の各所で実施。4トントラックの車内には冷蔵庫や冷凍庫を用意しており、野菜や卵などの生鮮食料品、冷凍食品や飲料などの加工食品、日用雑貨など約500アイテムを扱う。高齢者が多い地域であることなども考慮して品ぞろえに工夫を施すほか、車いすで車内を巡れるよう昇降装置も装備。レジは店舗のPOSシステムと連動しており、買い物の際のポイント付与やクレジットカード決済にも対応する。
高齢化率が約22%と都内の中でも高い水準にある多摩市。中でも、豊ケ丘、諏訪、貝取などニュータウン地区の高齢化は急速に進んでおり、中には4割を超えるところもある。ここ数年、スーパーマーケットの撤退も相次いでおり、ニュータウン地区の買い物を巡る環境は悪くなってきているという。
こうした事態に、同店では2011年春から月1回、豊ケ丘団地で「青空市場」と題した出張販売を実施。生鮮食料品など100~150アイテムを車に積んで販売を行ってきた。今回はこのノウハウを生かし、本格的に移動販売に取り組むことを計画。「アップダウンが激しく、自転車や歩いて買い物に行くには大変な街」と店長の片桐さん。「アイテム数を増やし、巡回する回数を増やすことで、買い物を楽しんでいただければ」と話す。
今後は毎週火曜日に豊ケ丘団地など2カ所、木曜日に貝取団地(貝取5)など2カ所を回るほか、長寿の森(八王子市上川町)など八王子市内の介護施設などでも移動販売を予定。巡回先の世帯数は約200と小規模なため、現時点では採算などはあまり考えていないという。「こちらから出向いていくことで、南大沢に店があることを知ってもらえれば」と片桐さん。「トラックが移動できる範囲で」と近隣地区へのサービス拡大も見込む。
南大沢店の営業時間は10時~22時。