工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーカープロジェクト」は10月28日、オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断した「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(WSC)」を受け報告会を行った。
同大新宿キャンパスで行われた今回の会見。プロジェクトの監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授のほか、チームリーダーを務める同大機械工学専攻終始1年の齊藤翔さんらチームメンバーも登壇した。
新たなレギュレーションに対応したソーラーカー「Practice(プラクティス) 驍勇」を用意し、「チャレンジャークラス」に参戦した同プロジェクト。今月5日に行われた予選では、クラス2位のタイムを記録。本選も2番手という好位置でスタートした。
6日間に及ぶ戦いの中、前半戦は空力の改善が課題になったという。「本当は現地からフェイスブックなども更新しようと思っていたが、改善作業だけで手いっぱいだった」と濱根准教授。シャーシに穴を開けたり、ホースを使って空気を垂直に落としたりするなど、さまざまなことを試したところ、4日目に大きく改善。車外温度42度という過酷な環境の中、前日の390キロを大幅に上回る575キロを走行することができた。「地面に着きそうだったノーズを5センチ浮かしたら、500ワットもの差が出た」と驚きを隠さない。
5日目は台風並の強風など悪天候に見舞われたが、最終日は天候も回復。ノーパンク、ノートラブルの状態で全日程を終えたが、コントロールストップに間に合わせるため、ソーラーカーを輸送する運搬トラック(トランスポーター)を各日使ったことが響き、約3000キロのコース中、公式自走記録は2450キロ。順位もつかなかった。濱根准教授は「チームとすると完走できなかった」としたうえで、「未完のまま終わった」と続けた。
今回の大会を振り返り、「世界は本当に大きかった」と齊藤さん。来年、秋田県大潟村で行われる予定の国内大会には、「オーストラリアを勝つことを念頭に置いてやっていきたい」と語った。濱根准教授は、2015年に行われる次回のWSCについて、「まだ考えていない」としながらも、「レースに負けて帰ってくると熱くなるところもある。千倍返しでリベンジしたい」と強い意気込みを見せた。
同プロジェクトが参加した「チャレンジャークラス」では、オランダのソーラーカーチーム「Nuon Solar Car Team」が優勝。国内勢ではクラス3連覇がかかっていた東海大学が2位で大会を終えた。