日本工学院八王子専門学校(八王子市片倉町)で5月30日、レゴ社製のロボット制御学習キット「レゴ マインドストーム」を使った体験実習が行われ、学生によるロボットレースで盛り上がった。
東京工科大学(片倉町)と同じキャンパスの中にある同校。今回は体育館を会場に、同校ITカレッジの中でも、4年制のITスペシャリスト科、情報処理科、パソコン・ネットワーク科の1年生を対象とした「ものづくり体験学習」として行われた。
「マインドストーム」は、プログラミングができるロボットパーツセットのことで、レゴブロックとセンサーやギア、車軸、モーターなどを組み合わせてハードウエアを組み上げた後、パソコンで作ったプログラムを読み込むことで、思い通りの動きをさせることができる。
レースでは、タイヤを使わずに、5メートルの直線コースを走り切る「タイヤなし!ガタガタ短距離レース」、センサーを使ってシートに線で引かれたコースを読み取り、脱線せずに進む「ロングライドライントレースレース」、コース上に置かれた障害物を避けながらゴールを目指す「センサー大活躍!障害物レース」の3種目を行った。「マインドストーム」は100台用意され、約300人の学生が2~3人ごとにチームを作って、その場でロボットを組み立てた後、クラス対抗でそれぞれの競技に挑んだ。
学生は授業の中で事前に「マインドストーム」の使い方を学んできたものの、障害物として置かれたダンボールにマシンが衝突してひっくり返ったり、練習走行中にマシンが分解してしまったりするなどレース前から課題が続出。中には、昼食返上でチューンアップにいそしむ学生の姿もあった。
各レースも波乱の展開となり、「障害物レース」では、完走できたマシンがわずか4台という結果に。「ガタガタ短距離レース」でも、床に敷かれたマットの境目にギアが引っかかり、そのまま進めなくなってしまうマシンが登場するなど会場の笑いを誘う場面もあった。
同校が「マインドストーム」を使った学生向けイベントを行うのは今回が初めて。「今、教育の環境が変わってきていて、学生のモチベーションを高めるためにはどうすればいいのかを試行錯誤しながらやっている。マインドストームは以前から体験入学の時に使っていたが、それを授業の中に取り入れようと思った」と同校ITカレッジ総轄科長の大島信行さん。「今までコンピューターというとディスプレーを前にした単独での作業が多かったが、グループ作業でコミュニケーションを取りながら楽しくできることがすごく大事」とも。
プログラミング言語の文法などを学んでいくことで、さらに活用できるようになることから、「マインドストーム」は今後の授業の中で生かしていくという。大島さんは「これからの時代は発想力が大事。いろんなアイデアをグループの中で出し合いながら、大人が想像できないようなものを作り上げてほしい。卒業制作でロボットが何かに使えないかと研究してみるのもいいのでは」と期待を込める。