京王プラザホテル八王子横の八王子駅前ビル(八王子市旭町)で2月20日・21日、空きテナントを期間限定で公園として盛り上げるイベント「AKITEN PARK」が行われる。会場は同ビル3階。
1階にJTB首都圏八王子北口店が入居する同ビル。「駅前すぐの空きテナントが大変身! たった2日間のワンダーランド」をうたい、ビルの空きテナントを期間限定の公園のような遊び場として活用。型抜きや輪投げ、ヨーヨーなどを楽しめる縁日や紙芝居などさまざまな催し物を用意する。
グラフィックデザイナーで「コミュニケーション作家」をうたうYORIKOさんをゲストアーティストとして迎え空間を演出。開催1週間以上前から会場に入り、手作業で準備を進めている。「空き地の活用というところで何があり得るかを考えた。サーカスの見せ物小屋のようなテントだったり、移動図書館のバスだったりと、いろいろと詰め込んだ結果、どこにもない空き地ができたのでは」と話す。目玉の一つがフロアの隅に設けられたブロック塀を模したスペースで、ここでは落書きを自由に行うことができるようにするという。「好き勝手に落書きして、この場所全体を使ってもらえたら」。
今回は東京都が進める「東京アートポイント計画」の一環として、八王子駅周辺の空きテナントを使ったアーティストの作品展など、さまざまプロジェクトに取り組んでいるNPO法人「AKITEN」が企画。
「空きテナントは普段、鍵がかかっていて立ち入ることができないことから、空きテナントが増えることは街の負債のよう捉えられるようになっているが、オーナーに鍵を開けてもらえれば誰もが使えるようになって資産になる。街に公園がない、コミュニティースペースがないといった問題も解決されるのでは」と代表の及川賢一さん。
これまでは市内各所の空きテナントを期間限定のギャラリーに変えてきたが、今回はオーナーがいるはずの空き地で自由に遊ぶことができた子ども時代を踏まえ「アートプロジェクトとしてのAKITENが見せたいもの、気づかせたいところを自分たちで見せることで、AKITENのコンセプトをいろいろな人に伝えたいと思った」。このため、会場入り口付近にブロック塀で囲まれた空き地のような空間に3本の土管を模した作品を置くなど工夫を凝らしている。
空きテナントを使うことから高さなどにも制限があり、「大人からするとちょっと不思議な空間かもしれないが、子どもからするとちょうどいいはず。空きテナントに作られるワンダーランドとして、不思議な違和感をもたらしてくれるのでは。ストリートミュージシャンなどパフォーマンスをする人も来てくれるが、公園なので遊べる人に来てほしい」と呼び掛ける。
今後は八王子をメーンに据えたガイドブックを自分たちの手で作り上げる計画も立てている。昨夏からネット上で「八王子と似ている街」として話題となっている米・オレゴン州の街であるポートランドを紹介する非公式ガイドブック「TRUE PORTLAND」(メディアサーフコミュニケーションズ)の八王子版というスタンスで、「ありがたいごとに街から空きテナントがなくなってきたので、今度は入ったテナントが出て行かないように八王子全体のブランディングをするステージに入った。おしゃれなデザインで、エリアを八王子に絞ることで本として濃くなると思うので、『八王子はすごくしゃれている』というところを出してみたい」と意気込む。
開催期間中は同ビル2階で「AKITEN MARKET」と題したイベントも開催。アーティストによる作品販売や版画をはじめしたワークショップなどを開く。開催時間はいずれも11時~18時。