八王子市内を対象としたコミュニティーFM局「八王子FM」を開局しようと、八王子エフエム(八王子市みなみ野4)が1月末の免許申請を目指し準備を進めている。
市区町村を対象とした地域放送局であるコミュニティーFM。現在、八王子エリアには存在しないことから、まちおこしや防災、防犯、地域連携などを目的に計画。市制100周年を迎える今秋の開局を目指して、昨年6月に開局準備室を設置し周波数調査を行うなどしてきた。
「これまで『八王子には地域ラジオ局がどうしてないの?』との疑問を内外から耳にしていたが、とうとう東京西部地区の中核都市・八王子に皆さまのラジオ局が誕生しようとしている。人口58万を抱える八王子の魅力を内外に発信するとともに、住民の皆さまには地元情報とわが街八王子への愛着を再認識していただけるような番組をお届けしていく」と同社の中野健次郎社長。
24時間放送を行い、番組については自社制作を基本としながら、他のコミュニティーFM局による番組や地域の大学が制作したものなども組み入れる方針。「地域の防災・防犯・文化・歴史・催事・交通・観光・スポーツなどの情報から身近な生活の話題、住民の皆さまのさまざまな声まで、この八王子の街を盛り上げ、にぎわいをつくるようなものを考えている。FMという高音質の放送を生かして良質な音楽をお届けするほか、市民の皆さまが制作に参加した番組や、他の媒体と連携した地元のニュースなど多岐にわたる番組編成を計画している」と中野さん。
番組パーソナリティーについては、地元出身・在住者を中心に公募する予定で、「経験も大切だが、地元に対する熱い思いを重視してオーディションなどを行う」と説明。市民によるボランティアスタッフの募集も計画しており、「どなたでも応募でき、資格や経験を問わずやる気のある方なら、審査や研修を経て番組作りに参加できる制度。開局後に募集したい」という。
開局の際には八王子市役所に送信所を置き、サービスエリアは市内全域とする予定。「地形や建物などの影響を受ける地区も一部に予想されるので、インターネットによる同時放送も実施したい。将来的には日野市など近隣の市町村と話し合いながらサービスを提供したい」という。
開局までには出資者やスポンサー集めなどの課題もあるが、市民株主制度を立ち上げるなどして解決を目指す。中野さんは「ラジオ離れと言われて久しいが、防災を始めとしてラジオが見直されている。八王子FMが開局したら、家庭のラジオに耳を傾けてみてほしい。ラジオの向こうに今まで見えなかった違う世界が広がっているかも」と呼び掛ける。