八王子市学園都市センター(八王子市旭町)で2月16日、広域八王子圏の大学生が自ら企画した事業の報告会が行われ、拡張現実(AR)を活用したイベントから自主製作映画まで、さまざまな事業の成果が発表された。
大学コンソーシアム八王子(八王子市旭町9)が実施している「学生企画事業補助金」の成果を発表する場として行われた。補助金は同会に加盟している大学・高等専門学校の学生が八王子を舞台にさまざまな事業を企画・運営することを目的に用意しているもの。2017年度はヤマザキ学園大学、法政大学、創価大学、東京造形大学、首都大学東京、多摩大学、東京工科大学、サレジオ工業高等専門学校の各校から合わせて10団体が活用した。
東京造形大学造形学部デザイン学科メディアデザイン専攻領域の学生は、スマートフォンアプリを使って昔の八王子の風景をARで再現するイベント「ハチカム」を実施。法政大学「@団地」チームは、グリーンヒル寺田(寺田町)の商店街にある空き店舗を活用するプロジェクトを行ったほか、創価大学理工学部の学生は地元の米「高月清流米」を使って新たな加工食品を作るなど、それぞれが工夫を凝らした事業を展開した。発表を受け、同会市民・学生連携部会の部会長で、サイバーシルクロード八王子(明神町2)会長でもある古瀬智之さんらが学生に質問する場面も見られた。
中でも、東京工科大学「Eamor + LALI」は、「Made in 八王子で映画を作ろう企画」と題した事業を実施。みずきるうさん、「八王子観光PR特使」のバンド「フラチナリズム」でベースを務めるタケウチカズヒロさんの2人を主演に据え、多摩地区最大の山車まつり「八王子まつり」を舞台に倦怠(けんたい)期を迎えた夫婦の様子を描いた約35分の映画「夫婦だし」を製作した。同作品は昨年12月に行われた「八王子Short Film(ショートフィルム)映画祭」に出品。市が発行する「広報はちおうじ」でも取り上げられるなど話題となった。
プロデューサーを務めた同大メディア学部3年の植前尚貴さんは「祭りと夫婦を題材にしながら八王子のいろいろなところを伝えられればと思って頑張った。八王子まつりで撮影させていただくということで安全面などの点で難しいと思っていたが、アイデアも含めて地元の方から協力を得ることができ、うまくいった」と振り返る。
監督を務めた同学部3年の市川拓海さんは「お祭りの体験をどうやって銀幕を通して伝えるかということで色には試行錯誤した。なるべく赤を強くして彩りよくしようと試みた。八王子は都会と緑が融合している。この2つが混在するところを映画で伝えたかった」と話す
現在、ユーチューブに予告編を公開しているが、「本編を見たいという声を頂いている。ただ、ユーチューブにアップしただけでは見ていただけないと思うので、もう少し人々の目に届けやすい形で提供していけたら」と植前さん。「八王子の人に愛される作品になっていると思う。うまいところを見つけて発信していきたい」と意気込む。