八王子市が2月7日、初めて行った「八王子市屋外広告物賞」の受賞者を発表し、優良デザイン部門の最優秀賞として欧風カレーをメインとしたレストラン「カキノキテラス」(八王子市田町)を選んだ。
「この通りにあるからこそのデザイン」として優秀賞に選ばれた「美容室クレッシェンド」
2015年4月に中核市に移行し、都から屋外広告物について許可の権限を移譲された八王子市。昨年1月~3月にかけて景観向上や市民・事業者の意識啓発につなげようと、「優良デザイン部」と「まちなみ調和部門」の2つの部門を用意し、看板やのれん、ファサードなど市内にある全ての屋外広告物を対象に優れたものを市民から募集していた。
「優良デザイン部門」については、カキノキテラスを最優秀賞に選んだ。「木製の壁にある柿の木のロゴとゲートサインのデザインが建物の雰囲気と調和しているとともに、屋外広告物の個々のデザインが特に優れている」と評価した。そのほか、優秀賞には「ブーランジェリー パリール」(西片倉町3)、奨励賞には高尾山口駅の駅名広告と「コーヒーMORO」(犬目町)を選んだ。
「まちなみ調和部門」は、「この通りにあるからこそのデザイン」として、八王子駅近くの「パーク壱番街通り」に店を構える「美容室クレッシェンド」(横山町)を優秀賞に選定。レンガ造りの建物でも知られる「コーヒー・ブリックス」(片倉町)が優秀賞に輝いた。奨励賞には西放射線通り商店街(ユーロード)通り沿いの矢島染物店(中町)を選んだ。受賞者にはそれぞれ石森孝志八王子市長が賞状を手渡した。
石森市長は「許可の権限を得たことから、今まで以上に景観形成の向上の推進を図っていくが、まだまだ市民や事業者の認知度は薄い。このような表彰を通じて、広く市民の皆さんに知っていただこうと企画した。非常に目につく作品になっていると思う。皆さんの素晴らしい作品を参考にしていきたい」と話す。
今回の受賞について、「カキノキテラス」を手掛けるジャックル浦島屋(田町)の藤江謙次社長は「普段、褒められることがないので本当にうれしく思っている。自分で言うのもなんだが、でき上がって格好良い、素晴らしいと思った。特に夕暮れ時、明かりが付き始めた時の全体の調和が良い。これがデザインの力かと思った」と話す。
店がある田町地区は「八王子遊郭」として一時代を築いた場所。遊郭が立ち並んでいた通りは片側1車線、幅員18.43メートルの幅広い道路として、かつての名残を見せており、その歴史を踏まえた上でアート活動が行われるなどデザイナーやアーティストからも注目を集めている。
「格好良いと言われるのはうれしい。SNSにも入口の写真がたくさんアップされているので、時代的にもちょうど良かったのかなと思う。お客さまがもっと来るような通りになれば」と藤江さん。「外見だけでなく、これからも日々努力して末永く良い店だと言われるように頑張っていきたい」と意気込む。