八王子の食とアートをテーマとしたオンライン上のイベント「FARMART at home(ファーマート・アット・ホーム)」が5月6日、始まった。
旬の地元野菜などの食材や調理品、料理を盛り付ける食器などを題材に、さまざまなアーティストや作家が集まりマルシェ形式で行っている同イベント。ホームページ上に「フード」「クラフト」「イベント」の3つのエリアを設けて開催。ギャラリーカフェ「MODESTE」(八王子市元横山町3)や、八王子で農業を行っている「もぐもぐファーム」など出展者について、プロフィールと併せて、ウェブショップへリンクすることで商品を購入できるようにしている。
今月10日は「MODESTE」を舞台に、Zoomやインスタグラムのライブ配信機能を使って、初心者向けピラティスの講習会やアーティストのライブ配信を実施。24日には同じく「MODESTE」でフードコーディネーターの「wadaco研究室」がテークアウト販売を行うなど催しも予定している。
2014(平成26)年から八王子のさまざまな場所でマルシェ形式のイベントを行ってきた「ファーマート」。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛などを踏まえ、今回はオンラインでの開催を決めた。
イベントに携わる陶器作家の上島かな子さんは「4月7日に東京都に緊急事態宣言が出されてから約1カ月間、多くの人々が自宅で長期間、自粛生活を送られており、ギャラリーでの展示会、屋外イベントなどの中止により多くのクラフト作家が活動の場を失ってしまっている。多くの飲食店が営業を制限、農家の出荷量にも影響が出ており、少しでも皆さんが楽しく買い物するなど、作家や店舗、生産者とつながるきっかけを作れないかと考えた」と話す。
オンラインイベントとしたことから、「自宅にいながらファーマートの世界を楽しめる。いつでも気軽にパソコンやスマホでのぞけるので、家事の合間でも寝転びながらでもファーマートを体験できる」と上島さん。
これまでのイベントは八王子の近隣からの来場者が多かったが、「遠方の方、海外にいる方へもファーマートという機会を提供できる。実際に商品を手に取ってもらうことや、直接、お客さまと対話できないといったデメリットもあるが、これを機会にオンラインショップを立ち上げたり、技術を駆使してライブ配信をしてみたりと、これまでなかなか取り組んでこられなかったことに挑戦する方もいて、可能性が広がっている」とも。
期間限定で、イベントは1カ月程度行う予定。「作家によるリモートワークショップなどもやってみたい」と上島さん。「作家のアトリエから配信したり、実際の店舗の調理場などから作っている風景を配信したりと情報発信の仕方によって、作り手の普段の様子を見てもらえる機会がつくれるとよい」と話し、作家のSNSなども含め、「画面を通して、作り手の思いや、ものづくりの世界を体験できると思う」とアピールする。
「突然、楽しく当たり前だった日常が止まってしまい、混乱していると思う。ファーマート・アット・ホームを通して、作り手と使い手の皆さんがつながるきっかけになればうれしい。そして、あの当たり前の日常を、早く取り戻せることを祈っている」と上島さん。