八王子在住の前野博さんによる初めての小説「キミ達の青い空 -八王子空襲から75年-」が7月1日、発売された。
フリーペーパー「はちとぴ」などを発行している清水工房(八王子市追分町)の出版事業部門「揺籃(ようらん)社」から刊行された同書。前野さんは八王子駅近くの西放射線通り(ユーロード)の商店街をまとめる「西放射線通り商店街振興組合」の理事長を務める。今回は前野さんの母親をモデルに、1945(昭和20)年8月2日に八王子の街を襲った八王子空襲など戦渦の八王子にも触れながら、1921(大正10)年生まれの山野キミの生涯を描く長編小説を書き上げた。本の帯には「この八王子の片隅に」と一言添えられている。
趣味で小説を書いていたという前野さん。「今度は母をテーマに書いたらどうなるだろうと思った。母が若い時、ちょうど戦争中の話をうまく書き上げられればと思っていた」と話す。書き出してから3年をかけたといい、戦後75年というタイミングでの発刊となったが、「昨年にはでき上がっていたが、校正などに時間がかかってしまった」と明かす。
読みどころは「戦争中の話。八王子空襲という8月2日のことだけでなく、その前年からアメリカの飛行機は多く飛ぶようになっていた。その辺りには力を入れた」と前野さん。表紙のイラストにもこだわり、「最初はもっと家が建っていたし、女の子もスカートを履いていた」とした上で、戦中ということで「家をなくして、モンペ姿に変えてもらった」という。
次回作については「書けるのだったら書いてみたい」と前野さん。「八王子に根付いた歴史小説が書ければ」と意気込む。
A5版、346ページ。価格は1,200円(税別)。