中央大学(八王子市東中野)の学生が、オリジナルドレッシングの開発やパンフレット製作など、八王子ショウガをアピールする活動を進めている。
同大経済学部伊藤伸介ゼミ商品開発班に所属する学生が、八王子の地域活性化を目的に行っている同プロジェクト。八王子ショウガは、JA東京中央会が認定している「江戸東京野菜」の一つ。今回は八王子ショウガについてSNSなどで情報を発信するゼミ活動の一環として、ドレッシングの開発などを進めた。大学コンソーシアム八王子(旭町)による「学生企画事業補助金」を生かした。
ドレッシングは、小比企町に農園を持つ中西農園から仕入れたショウガを使って開発。10月から約1カ月にわたり、ドレッシングを使ったサラダが多摩市内のレストランで提供されるなど実際のメニューにも生かされたという。11月には八王子ショウガの特徴や歴史、アレンジレシピなどを紹介したパンフレットが完成。インスタグラムでは、ショウガを生かしたメニューの紹介も行っている。
ゼミ生が商品を開発するのは今回が初めて。プロジェクトに携わる若林果穂さんは「何か商品を作って貢献をしようと思った。当初はショウガを使ったサイダーを作る話などもあった」と振り返る。今春からプロジェクトを進め、当初は同大の学園祭や、毎年11月に行われる「八王子いちょう祭り」での販売を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、計画の変更を余儀なくされたという。
夏前にはドレッシングを作ることを決めたが、新型コロナの影響で大学構内への立ち入りができなかったため、商品開発はおのおのの自宅で進めたという。「グラム単位で味が変わるし、砂糖で甘さを出すのと、リンゴで甘さを出すのでは違ったので、日々研究を進めた」と若林さん。同じく開発を手掛けた荻野友梨さんは「ショウガをそのまま使うと苦味が出る。合わせて辛味も消すために時間を掛けて炒めたタマネギを入れるなど、最後の最後までレシピを調整した」と話す。
レシピ開発は10月初めまで続いたが、その間、メンバーとはオンライン上でしかやり取りができなかったという。味を直接共有できなかったことから、「会えないということは、こんなに大変なんだと思った」と若林さん。完成したドレッシングが店で提供され、「『ショウガには辛いイメージがあるが、このドレッシングは食べやすかった』という声を頂けたことはうれしかった」と話す。「アンケートを行ったところ、八王子ショウガという名前を聞いたことある人が少なかったが、これをきっかけに知ってもらうことができたのでは」と分析する。
イベントなどでの販売ができなくなったことから、さらなる情報発信を目的にパンフレットの製作に踏み切った。完成したパンフレットは八王子市役所や道の駅「八王子滝山」(滝山町1)などでの配布を見込む。「八王子のいろいろな方に助けていただいてここまで来た」と若林さん。インスタグラムなども通して、「若い人にも八王子ショウガを知ってもらう機会になれば」とも。