京王八王子駅近くの「シフォンカフェ Bon・mu(ボン・ムー)」(八王子市明神町2、TEL. 042-649-8056)が9月12日、シフォンケーキの自動販売機を設置した。
2010(平成22)年に出店した同店。2013(平成25)年に現在の場所に移転した。有精卵を使い、ベーキングパウダーは使わず卵の力だけ膨らませているというシフォンケーキは、バニラや「いちごミルク」などさまざまなフレーバーの物を提供している。2018(平成30)年には八王子商工会議所が主催し、市内に店を構える小売店や飲食店などの中から「一押し」の店を決める「八王子お店大賞」を受賞した。
今回は店入り口横に、カットしたシフォンケーキを扱う自動販売機を設置した。バニラ、アールグレイ、チョコチップなど9種類のケーキ(各300円)と見た目が少しいびつな物などをアウトレット品として20円引きで販売することも。
取締役マネジャーの浦田智恵さんによると、新型コロナウイルスの感染拡大を防止しようと、店では現在、一度に2組までの入店に限定するなど対策を採っているが、「買う方はショーケースを見て、味を楽しんでから選ばれることが多く、買う決断をされるまでに時間がかかる。コロナ禍で密になってはいけないということで、2組までに限定させていただいているが、お待ちいただく方が増えた。時間が限られている方もおり、そのような方が自動販売機で買うことができたら少しは迷惑をおかけしないかと思ったのと、このご時世、対面を気にされる方もいらっしゃるので、そのような方のためにも置いた」と話す。
自動販売機設置は、営業時間外に訪れる客を取り込みたいという思いもあるという。「店は20時で閉めてしまうし、日曜は休みなので、仕事が終わって八王子に帰ってきても買えないし日曜も買えないとおっしゃる方がいる。自動販売機があればお買い求めいただけるのではと思った」と浦田さん。
「缶ジュースを買うような感覚でシフォンケーキを買ってもらえたら」と浦田さん。シフォンケーキの形を崩さず売ることができる自動販売機をずっと探していたという。「コロナ禍でそういうものに特化した自動販売機が出始めたこともあり、発売になったタイミングで導入を決めた」とも。
「自動販売機を置いてから、毎日通る時に1つずつ買ってくださる男性のお客さまもいる。男性は1個だけだと買いづらいかもしれず、自動販売機ならとおっしゃる方もいる。そういう方にも気軽にお買い求めいただけているのでは」と浦田さん。「季節の味やスタッフお薦めの味も入れている。これまで店を利用したことがない人でも気軽に買ってもらえれば。今まで準備していたものと世の中は180度変わってしまったが、それに合わせていろいろ動き出している。その一つがこの自動販売機」と話す。
コロナ禍の中、レストランやカフェなど取引先の休業やイベント出店の中止なども相次いでいることから、店ではクラウドファンディングも活用している。現在、半年ぶり3度目となるプロジェクトを「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で掲げている。目標額は100万円で、1,000円~1万800円までのコースを用意する。目標額に達成するかどうかにかかわらず集まった金額が起案者に支払われるオールイン方式を採る。店のシフォンケーキなどをリターン品として用意する。支援締め切りは10月5日23時59分59秒。
「おいしいシフォンケーキを焼かせて下さい」と訴える同プロジェクト。「店頭販売以外の部分がかなり落ち込んでしまっていて、スタッフはいるがやることがない状態が続いてしまっている。せっかく材料もあり人材もいるのに、シフォンケーキを焼いても食べてもらえる先がない。そこで、クラウドファンディングで食べていただける人を募ろうと思った」と浦田さん。「行政の支援の対象には当てはまらず、どこからも支援がないため自分たちで立ってやっていかなければいけない」とした上で、「スタッフにも思いっきり仕事をしている充実感を味わってもらいたい」とも。
9月30日現在、150人約89万円の支援が寄せられている。浦田さんは「支援をくださる方がいらっしゃることがありがたい。コロナ禍で皆さん頑張っていると思う。スタッフもうちのシフォンケーキに誇りを持ち、おいしく食べてもらいたいと純粋に考えてやっている。八王子だけでなく、全国の皆さんが応援してくれるのはすごく励みになる」と話す。「食べたら絶対おいしいと思ってもらえるシフォンケーキを作っているという自信がある。食べていただくことで、コロナ禍で落ち込んだ気持ちも少しは晴れるのでは。家でのプチぜいたくとして使ってもらえたら」と呼び掛ける。
営業時間は10時~20時。日曜定休。