八王子市が2月15日、2024年度予算案を公表した。
予算規模は、一般会計が前年度比4.6%増の2,272億円、特別会計が同3.1%増の約1,965億円、公営企業会計が約215億円、合わせて4,452億3,084万円となった。総額では前年度と比べて約156億円、3.6%増えた。
1月29日に就任した初宿(しやけ)和夫八王子市長の下、初めて編成された予算となる。今回は「骨格予算」と位置付け、人件費や公債費、扶助費など法や条例、契約などに基づく「義務的経費」、事務経費など行政運営に必要なものや、既に進んでいる公共事業のもの、国や東京都の予算措置に応じたもの、工事など実施時期の関係などから6月に取りまとめる補正予算には間に合わないものなどをまとめた。
「市長就任後、間もないこともあり骨格予算として編成した。骨格予算とはいえ当初予算規模としては過去最大となった。市長選の公約で掲げた学校給食費の無償化については、庁内検討会を設置して検討を進めているところ。当初予算の中では諸課題を整理するための検討委託料を計上した。このほか公約に掲げた政策を実現するための新たな取り組みについては今後、補正予算で計上する」と初宿市長。
市では今後、百日ぜきの抗体価低下を防ぐため中学校進学前に接種するワクチンを2種混合から3種混合に変更する取り組みを都内で初めて行うほか、保育士1人が受け持つ子どもの数を減らすため職員の配置基準を見直す施策に取り組むという。
3種混合ワクチンへの変更について、「日本小児科学会で小学校と中学校進学前の接種を推奨している。かつて大学生の中で百日ぜきが流行したことがある。このときの経験を踏まえ、限りある財源の中で先に中学校進学前の接種に取り組みたい」と初宿市長。「私のカラーを出すのは次の肉付けの時になると思っている。そのため2つに絞った」とも。
まちづくりについては、八王子医療刑務所跡で進む「八王子駅南口集いの拠点」整備、旭町・明神町地区周辺のまちづくりの推進、高尾駅の北口と南口の間を結ぶ「高尾駅南北自由通路」など既に進んでいる事業の経費を予算案に盛り込んだ。
初宿市長は今後のまちづくりについて、「中心市街地などいろいろな要素はあるが、特に多摩ニュータウンの再生は公約にも掲げた。国が整備し、今は市の事業になっている。ニュータウンをどうしていくのか、中核市としての責任や役割が問われる場面だと思う。八王子市として都市機能の再編と持続性の確保をしっかりと担っていかなければならない」と話す。
「これまで黒須元市長、石森前市長とさまざまな市長が行政課題を解決してくれたが、私は八王子市単独では解決できない残された課題があると認識している。課題を解決する中では近隣自治体との連携が大事になってくる。多摩ニュータウンの文脈でいえば、八王子市単独で解決するものではないので、多摩市、町田市、稲城市といった自治体との連携は図っていかなければならない」と初宿市長。