八王子まつり実行委員会が7月4日、今年の「八王子まつり」公式ポスターと手ぬぐいを公開した。同日、デザインを担当した学生の表彰も行った。
同祭りは多摩地区最大規模の山車(だし)まつりとして知られる。甲州街道(国道20号)をメイン会場に山車やみこし、民踊流しやパレードなどさまざまな催しを行う。昨年は3日間で85万人が参加した。今年は8月2日から3日間の日程で行われる。
祭りの公式ポスター、観光誘致ポスター、手ぬぐいは同会と地元の学校がコラボしデザインを制作している。ポスターは2014(平成26)年から日本工学院八王子専門学校(八王子市片倉町)、手ぬぐいは2020年からサレジオ工業高等専門学校(サレジオ高専、町田市)が、それぞれ授業の中で取り組んでいる。
今年の公式ポスターは日本工学院八王子専門学校デザイン科3年の鈴木胡春さん、観光誘致ポスターは同3年のタンドック・デニス・アモールさん、手ぬぐいのデザインは、サレジオ高専5年の峰岸鳳(あげは)さんの作品を最優秀に選んだ。公式ポスターは八王子市内などの街中、観光誘致ポスターは首都圏の主要駅などに掲示する。手ぬぐいは今年の祭りの記念グッズの一つとして販売する予定。
作品の披露と合わせて、「八王子まつり会長」を務める初宿(しやけ)和夫八王子市長が最優秀に選ばれた3人を表彰した。1次選考を通過した学生には尾川朋治八王子まつり実行委員会委員長が感謝状を贈った。
鈴木さんとタンドックさんは、2月から春休みを挟んで作品づくりを進め、約3カ月かけて完成させたという。昨夏の八王子まつりに遊びに行ったという鈴木さんは「八王子まつりには魔法っぽいイメージを感じた。小さい頃から思っている神へのイメージなども込めてポスターとして形にした」と話す。
「1枚のポスターの中に情報を詰め込みすぎて、伝わらないことがあるとフィードバックをいただくことが多かったので、今回は私が伝えたいことを絞るために試行錯誤した」と鈴木さん。デザインは空から道をたどって進む山車やみこしを人々が迎える形となっており、「近くでポスターを見た時にどう見えるかにもこだわった。全体としてわちゃわちゃと楽しい雰囲気にした。夏を一緒に楽しんで思い出に残る祭りにしてほしい」とも。
タンドックさんは「日本の和が詰まったイベントだと感じている。その和っぽさを外国人の方にも表現できればいいと思って制作した。和のテイストを空白で表したかったので、公式ポスターと比べたらそぎ落とされたものになった。作字は彫刻をモチーフにしており繊細さをイメージした。すごくシンプルな絵面なので、画像の切り抜きなど細部までこだわった」と話す。
手ぬぐいのデザインを手がけた峰岸さんは日本の伝統色の中から色を選び、デザインしたという。「たくさんの人が1つの祭りに向かって楽しんでいる姿を見て、このデザインが思い浮かんだ。縁起が良い色といわれているし、八王子の日本遺産のテーマカラーである桑の色でもある。折りたたんで首にかけた時に紋などがちゃんと見えるようにもした。じゃんじゃん使ってほしい」と峰岸さん。
初宿市長は「八王子まつりは八王子にとって最大のイベントというだけでなく、日本遺産の構成文化財の一つでもある。八王子市にとって大切な八王子まつりに力添えをいただいたことに感謝する。審査では最優秀を選ぶのがすごく大変だったと聞いた。それぞれがすばらしい作品を描いたと感じる。ポスターと手ぬぐいはこれからしっかりと活用させていただく。今年も暑い夏を盛り上げていければ」と話す。