
工学院大学の学生プロジェクト「工学院レーシングチーム 『KRT』」が8月19日、「学生フォーミュラ日本大会2025」参戦に向け、新型車両「KRT25」を発表した。
同大八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置き、2004(平成16)年から活動している同チーム。車体の企画・設計・製作から、チーム運営までの全てを学生が手がけており、現在は約100人のメンバーが活動に参加している。
公益社団法人自動車技術会が主催する「学生フォーミュラ日本大会」は、学生が設計・製作した車両を性能だけでなく、安全性やデザイン性、製作コストなどさまざまな点から審査するもので、大会当日は車検・静的審査・動的審査を行う。今年は9月8日~13日に「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」(愛知県常滑市)で開催する。
昨年9月に行われた前回大会で、工学院大チームは車検を通過できなかったため、動的審査に参加できず、参加した75校中50位という結果に終わった。今回は総合優勝を目指すため、チーム内での情報共有やスケジュール管理など、チーム力向上の点から見直し、車両製作に取り組んだ。
新型車両は「パワフル・キビキビ 誰が乗っても速い」をコンセプトにし、ホンダ製のオートバイ「CBR650R」のエンジンを採用した。フロントウイング・リアウイングのデザインなどエアロパーツにも手を入れた。タイヤは昨年の車両で採用した18インチのものから16インチのものにサイズダウンした。試走の段階で冷却性能に課題を見つけたため、その改善に向けた取り組みを進めるなど現在も大会本番に向けた準備を進めているという。
チームリーダーで、テクニカルディレクターも務める工学部機械工学科3年の松本悠暉さんは「昨年度は残念ながら車検を通過できず動的審査を受けられなかった。その悔しさを糧にチーム一丸となって開発を進めてきた。この新車両はその成果の一つ。今後の飛躍につながる第一歩になると信じている」と話す。
車好きが高じて、大学から学生フォーミュラの世界に入った松本さん。「運転が好きだったが、車がどうやって動いているのかに興味があり自分で車を作ってみたいと思うようになった。自分だけでは100%無理。各班のリーダーを信頼しているし、そのリーダーもメンバーと結びついているので、これだけの体制ができている。学生フォーミュラは大学によって作る車が全く違うのが魅力。私たちは大会で1位を取る速い車を作るのがポリシー。チームの目標を見失わず、意識して行動すればおのずと優勝は見えてくるはず」と話す。
「昨年度の活動を振り返ると、日程の全体共有が不十分で計画的に進めることができず、セクション間での情報共有にも大きな課題があった。本年度は課題を解決するため組織力の向上を図った。本年度の最終目標は総合優勝。9月の本番に向けて、しっかりと準備を進めたい」と松本さん。