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八王子・中町の旧染物店が「地域の居場所」に 官民共働で孤独・孤立対策

植原副市長(中央右)らが出席したプレオープンセレモニーの様子

植原副市長(中央右)らが出席したプレオープンセレモニーの様子

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 西放射線通り商店街(ユーロード)沿いに10月21日、八王子市などによる孤独・孤立支援対策の一環としての「居場所」(八王子市中町)がプレオープンした。

孤独・孤立対策の一環で「居場所」として活用する旧矢島染物店店内

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 2023年12月末に閉店した旧矢島染物店を活用した同施設。今回は物件の所有者の協力を得て、八王子市、NTT東日本東京西支店(立川市)、「まちづくり八王子」(八王子市旭町)が連携し同施設を運営する。

 昨年4月施行の孤独・孤立対策推進法を受け、3者は5月に「八王子市孤独・孤立対策官民連携プラットホームの設置及び共同運営に関する協定」を締結。孤独・孤立状態にある市民の心身状態や生活環境が悪化するのを防ぐため、地域に人が集う居場所とその仕組みづくりを進める「ことこプロジェクト」を立ち上げた。「ことこ」は「孤」「個」「子」「戸」などの言葉を基にし、「『こ』と『こ』のつながりを生み出す新たな居場所を作る」と説明する。

 目的は孤独・孤立状態の実態把握、イベントやワークショップなどの開催を通じたコミュニティーの創出支援などとしている。八王子市は法律に基づく「孤独・孤立対策地域協議会」の運営、生活課題への相談対応、地域の医療・福祉機関との連携などを担う。NTT東日本は、ICT技術を使った運営支援として、eスポーツイベント開催などを通した住民同士の交流や健康増進など、「まちづくり八王子」は、施設の環境整備、コミュニティービジネスやソーシャルビジネスの創出支援、SNSを使った本活動の周知などを担う。

 11月以降を本年度末のグランドオープンに向けた「プレオープン期間」と位置付け、施設の改修を進めながら、施設の使い方について考えるワークショップや、eスポーツイベントの開催、住民同士の交流を目的とした企画実施などさまざまな事業を行う。次回は12月6日にワークショップを開く予定。

 八王子市の植原康浩副市長は「八王子市は『つながる』をキーワードに誰もが安心して暮らせる地域づくりに努めている。この場所は八王子市の施策の一つである孤独・孤立対策の一環として、世代・立場を超えて誰もが気軽に立ち寄れる、つながることができる場所として準備を進めてきた。この場所はいろんな方が出入りし、少しでもほっとできる場所になれば」と話す。

 NTT東日本東京西支店の伊藤弘造支店長は「NTT東日本では地域の課題解決に向けた取り組みを行っており、孤独・孤立という新たな地域の課題にも積極的に挑戦していきたい。eスポーツというと若者向けと考えられるかもしれないが、高齢の方も含めて馴染んでいただいている。世代を超えた幅広い方々に集まっていただき、地域コミュニティーの活性化や社会参画の後押しができれば。ICTを活用して、孤独・孤立に悩む市民をキャッチして、プロアクティブに行政サービスにつなげていくスキームづくりにもチャレンジしていきたい」と話す。

 まちづくり八王子の鈴木一弘社長は「孤独・孤立が何かと考えると、なかなかパッとは言い表せない。ただ、誰もが陥りうることで特別なことではない。ここは拠点としてすごく使い勝手が良い場所だが、良い場所だからといって来てくれるわけではない。誘ってくれるおせっかいな人が必要だし、関心のあることに触れることができるチャンスも必要。行ってみようかなという人、それを受け入れてくれる人にこの場所をハブとして使ってもらえたら」と話す。

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