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八王子「カトウ洋品店」が現店舗での営業終了へ 来秋にも新体制に

現店舗での営業を終了することを発表した加藤さん

現店舗での営業を終了することを発表した加藤さん

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 シニア向け衣料品販売店「カトウ洋品店」(八王子市八日町)が12月下旬、現店舗での営業を終了する。

「カトウ洋品店」店内

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 八王子駅北口から徒歩約8分、甲州街道(国道20号)八日町交差点近くにある同店。1951(昭和26)年10月に開業した。シニア向け婦人服や高機能肌着、雑貨などを専門に扱っている。店頭販売のほか高齢者施設での出張販売、オンライン販売なども行っている。

 店主の加藤一詞さんが10月27日、年内で現店舗での営業を終了し、今後は新たに建設する自宅兼事務所で肌着など一部商品に特化して営業を再開する予定であることを発表した。買い物弱者向けに行っている訪問販売は個別に対応する。

 同店公式ウェブサイトや自身のフェイスブックで発表すると、八王子の人たちからは「寂しくなります」「残念です」「お疲れさまでした」「八王子の情景がなくなっていくのは寂しい」などのコメントが寄せられた。

 20代前半で店を継ぎ、3代目として約50年にわたり店頭に立ってきた加藤さん。小売りにとどまらず、客の声を基にメーカーや工場とかけ合い、新商品の企画・開発につなげるなど独自の理念を持って営業してきた。

 本業以外でも、「八王子のソウルフード」をうたう「パンカツ」を一般に普及させようと、2013(平成25)年には有志とともに「日本パンカツ協会」を結成するなど地域活性化に向けた取り組みにも数多く携わった。加藤さんは「店で売っていると思って、パンカツを買いに来た人もいた」と振り返る。

 現店舗での営業終了を決めたことについて、建物の老朽化や自身の高齢化など店の事情だけでなく、国内ファッション業界の縮小や相次ぐメーカーの撤退など複合的な要因を挙げる。「何十年も続けられる状態にはない。変える良いタイミング」と加藤さん。

 現店舗を閉めた後、半年から1年間は新たな体制への移行期間と据える。「その間に試せることはやっていきたい」と加藤さん。「八日町に住みながら子育てや教育に携わるようなことがしたいとずっと思っていたので、そういうこともできたら」とも。

 数年前から地元のアプリ開発企業と手を組み、スマートフォン向けアプリの開発にも取り組むなど、「洋服と関係ないこともいっぱいやっている。『カトウ用品店』の名前は出てこなくても、『加藤』の名前はいっぱい出てくるし顔も知ってもらえている。おかげで周りからは『八王子のボス』と呼ばれて困る。『余計なことは言わないで』と話している」と加藤さんは笑う。

 「売り場がなくなっても現物を扱う対面販売は続けるし、対面が一番重要なことは変わらない。会社もそのまま。パンカツもやるつもりでいる。イベントも一つ考えているものがある。この年齢になって新たなスタートを切るのはきついが、どれだけ楽しめるか。全然終わらないし終わる気もない。いつ終わるかも分からないが、死ぬまではしっかりと生きる」と加藤さん。

 営業時間は9時~18時(水曜は17時まで)。

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