大学生が八王子市政へのアイデアを八王子市長にプレゼンテーションする「八王子市長へ直接提案」が12月7日、八王子市学園都市センター(八王子市旭町)で行われた。
大学コンソーシアム八王子が日頃の研究成果を発表する機会として設けている「学生発表会」の場で行った同イベント。今年で17回目。事前審査を経て選ばれた5大学、8グループが初宿和夫八王子市長に市政へのアイデアを提案した。
全てのグループが発表した後、審査員の初宿市長らが各賞を選出した。最優秀賞には創価大学法学部中山ゼミの「エンディングノートで空き家対策!住み続けられる町へ ~空き家も市民も生き生きとするための終活支援~」が選ばれた。
同グループは八王子市が都内で8番目、特別区を除いた市町村では最も空き家が多いことに注目した。空き家の所有者には老人ホームなどに入所した高齢者が多いことや相続問題が原因であることから、空き家の発生を防ぐことを目的に検討したという。
八王子市は2023年にこの空き家対策を目的に「住まいの活用ノート」の配布を始めた。しかし、同グループは冊子が活用されていないと指摘。同冊子に、エンディングノート、読み物として「学生が考える八王子の魅力スポット紹介」などを加えた「えんノート」を新たに制作・配布することを提案した。これにより、これまでの人生を振り返るウェルビーイングや、相続や住まいの将来を元気なうちに家族と共有することを促すという。
提案には市内企業からの広告を基に印刷費を捻出し無料配布することや、市民の手に取りやすいよう病院やカフェなどでも配布すること、学生団体主催によるイベント開催など官民学連携の視点も盛り込んだ。
初宿市長は提案を行った学生に対し、「私は具体的に考えて分からない時には抽象的に考え、その政策で課題が解決できるかを考える。支障が出たら考え直すことを繰り返しながら政策立案をしている。全く知らなくてもやらなくてはいけないのが仕事。知らなかったがゆえに対応できなかったというのは同情はできるかもしれないが、仕事としては結果を出さなくてはいけない。私は学べる時に学んでおけばよかった。皆さんは今、学べる環境にいるので、いろんなものを学んでいただきたい」と話す。
「今回は社会課題の解決への具体的な提案をいただいた。皆さんは私たちが解決できなかったものを解決していく世代になる。残された課題や未知の課題にぜひ果敢に取り組んでいただきたい」と初宿市長。