婦人靴店「うさぎや 八王子店」(八王子市三崎町、TEL. 042-627-5550)が現在、店にある在庫限りで営業を終了し、73年間の歴史に幕を下ろす。
八王子駅北口から徒歩1分、三崎町公園近くの西放射線通り商店街(ユーロード)沿いにある同店。1951(昭和26)年に八王子市横山町でゴム長靴販売店として始めた後、紳士用などさまざまな靴を販売するようになった。店を運営する「うさぎや」(明神町3)によると、創業は1952(昭和27)年9月。現在の店舗は1990(平成2)年に移転した。
これまで横浜駅前のショッピングセンター「ジョイナス」内や吉祥寺にも店舗を展開。「うさぎや」では今回、全店舗の閉店を決定。横浜店は昨年12月に閉店した。
吉祥寺店は2月1日、八王子店は同26日を最終営業日としていたが、八王子店では、昨年12月中旬に閉店を発表した後、売れ筋だった23~24センチサイズの靴がすぐに完売。今年に入って、その他のサイズの靴も販売が好調なことから、在庫がなくなり次第営業を終了することにした。「うさぎや」の小俣能範社長は「1月第4週ごろまでは販売できるのではないか」と話す。
同店では1998(平成10)年から婦人靴に特化し、「長時間履いても痛くない靴」をコンセプトに、手作りのオリジナル商品を開発・販売してきた。俳優の樹木希林さんが同店の靴を愛用していたことでも知られる。
1975(昭和50)年、25歳の頃に入社したという3代目社長の小俣さんは「以前は街で買い物をし、生活する人が多かった。90年代後半、『デパートがなくなり、ファッションビルは増えたが、大人の靴が買えない』『足が痛いのを我慢できない。良い靴が欲しい』という方の話を聞き、そういった人に向けて靴を作るようになった」と話す。
小俣さんによると、近年のファストファッション台頭に伴い、フォーマルな場でもスニーカーなどカジュアルな靴が許容されるようになったことや、ネット通販が普及し街で買い物をする人が減ったことを受け、物販のビジネスモデルに限界を感じたことが閉店のきっかけという。
小俣さんは「今、世界中の大都市で物販の仕事はやりにくくなっている。われわれの場合、月に10足しか売れなくても職人には、それ以上の数の発注をしなければならない。そうすると何カ月分もの在庫を抱えて仕事をすることになる。在庫の回転が落ちてくると、新しいデザインの靴も作りにくくなってしまう。店に並ぶ何倍もの在庫を倉庫に抱えながら、仕事を回すのは難しい時代になった」と話す。
小俣さんはこれまで、小規模店主向けの勉強会「お店よろし塾」を立ち上げるなど、八王子のビジネス活性化にも取り組んできた。「八王子を立川や町田と比べる人もいるが、それぞれの街にはそれぞれの街の良さがある。八王子の街の良さを生かせるような仕事ができたら」と小俣さん。「お店を畳んだ後のことはゆっくり考えたい」とも。
営業時間は10時~19時。