野菜をメインとしたレストラン「Lantana(ランタナ)」(八王子市明神町4、TEL. 042-610-2044)が2025年12月19日にオープンし1カ月がたった。
京王八王子駅から徒歩2分、下倉楽器八王子店が入る内藤落合ビル3階にオープンした同店。「RISTORANTE CANOVIANO(リストランテ カノビアーノ)」(目黒区)、レストラン「FARO」(中央区)などで経験を積んだ八王子出身の阿部聖さんがオーナーシェフを務める。
店舗面積は約15坪。店の中央にはオープンキッチンを配置し、カウンター9席を備える。ランチ、ディナー共予約のみ。映画や演劇を鑑賞するように食事を楽しんでもらおうと、入店時刻を「開場」、料理の提供開始時刻を「開演」と表現し、ランチ=11時45分開場・12時開演、ディナー=18時開場・18時30分開演としている。
八王子産などの野菜をメインとしたコース料理を提供する。日々、ランチは「スープ」「カルパッチョ」「サラダ」と品名のみ、ディナーは「ニンジン、シイタケ、カボチャ」「キクイモ、カカオニブ、トリュフ」と食材のみを書いた手書きのメニューを用意し、料理が運ばれてくるまでの間も楽しんでもらえるよう演出する。野菜の切れ端などを乾燥させ、フレーバーと合わせた「サステナブル茶」を提供するなど環境に配慮したメニューづくりにも取り組んでいる。
「同じカブでも夏のみずみずしい物と、冬のしっかりとした甘さの物では全然違うので、決まった料理を作る必要はない。日本には四季があり、中でも野菜は四季を感じやすいので、それが感じられる場所にできたら。その時にある食材で作っているので、品名からイメージする料理とは違うものになることもある。特定の国の料理をうたわないのもそこから来ている。聞かれたら『野菜料理屋』と答えている」と阿部さん。
当初は、以前親とカフェを開いていた多摩市周辺での出店を検討していた阿部さん。物件探しを進める中、NPO法人「AKITEN」(千人町2)代表理事の及川賢一さんから、八王子駅近くの「ひよどり山」で進む農地活性化に向けた取り組みを知り、八王子への出店を考えるようになった。「せっかく八王子の野菜を使うのだったら、店を八王子に出そうと思った。たまたま見つかった物件が駅近の割には隠れ家のような場所だったので、今の場所に決めた」と阿部さん。
室内空間は建築家で、TYRANT(明神町2)の松葉邦彦さんが設計した。食器の一部は高尾にアトリエ「調麓窯」(上恩方町)を構える陶器作家の上島かな子さんの作品を採用。ショップカードなどは八王子に拠点を置くグラフィックデザイナーの和田直也さんがデザインするなど、阿部さんの意向を基に八王子で活動するさまざまなクリエーターが店作りに参加した。
日本画を勉強し、学生の頃は芸術家を志していたという阿部さんは「店作りも小さな時から行っていたものづくりの延長にある。店に足を一歩踏み入れた瞬間から、この空間にいる価値を持たせたいと思った。八王子でやるからには八王子のものに触れることができる場所にもしたかった」と話す。
開店から約1カ月がたち、店のインスタグラムで知った人や口コミ、これまでの常連客などが訪れ盛況だという。「店の雰囲気やニーズに合う人に来ていただければ。扉を一つ開けたら、八王子のビルの中にいることを忘れさせるような時間にしたい」と阿部さん。