来年開催が予定されていた「ガスパール・カサド国際チェロコンクール in 八王子」について5月27日、同実行委員会が開催の延期を発表した。
同コンクールはスペイン・バルセロナ出身のチェリスト、ガスパール・カサドの妻でピアニストとして知られる原智恵子さんが1969年から日本に帰国する1990年までの間、イタリア・フィレンツェで開催していたもの。2001年に亡くなった原さんの遺志を引き継ぎ、八王子の市民有志が同コンクールの再開を計画。2006年11月、16年ぶりに復活を遂げた。
前回は2009年11月に開催。世界から男女合わせて22カ国、57人のチェリストが参加し、当時17歳だったアメリカ出身のマシュー・アーレンさんが優勝した。開催と併せて市内各所ではアートイベント「エントランス・ザ・カサド」も行われ、チェロ、コントラバス、バイオリンなどを実際に演奏する体験会や空きビルやカフェをアート空間に変える「まちなかギャラリー」などでイベントを盛り上げた。
同コンクールは3年に一度開催されており、2010年にはスイス・ジュネーブに本部を置き世界の主要なコンクールが参加する「国際音楽コンクール連盟」にも加盟。2012年には八王子で3回目の開催を予定していたが今回、同実行委員会が5月20日に本会議を開き延期を決定した。
「東日本大震災の発生に伴い、開催準備など諸般の状況から開催を延期することにした」と同会の三宅壮三会長。通常2カ月に一度のペースで会議を開いているが、「今後の実施時期については、年内には実行委員会により決定を行う予定」。中止については6月1日発行の市広報などでも知らせるという。