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東京造形大生が企業向け年賀状をデザイン-紙製品メーカーとコラボ

表彰式に参加した美澤修教授(左)と東京造形大学の学生、山桜の市瀬社長(右)

表彰式に参加した美澤修教授(左)と東京造形大学の学生、山桜の市瀬社長(右)

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 山桜(やまざくら)八王子の森工場(八王子市兵衛2)で4月4日、東京造形大学(宇津貫町)の学生が来年の企業向け年賀状をデザインし競う「NENGA DESIGN COMPETITION(年賀デザインコンペティション) 2013」の表彰式が行われた。

トリプル受賞を果たした佐藤さん

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 名刺や封筒、はがきなどの紙製品を扱う山桜(東京都中央区)と同大の共催で実施された同プロジェクト。企業が送る年賀状をメーンターゲットに同大デザイン学科グラフィックデザイン専攻領域の学生から広くデザインを募集。その中から実際に商品化を進めるもので、両者がコラボするのは今回が初めて。

 同工場は2009年にオープン。構内にはヤマザクラ系の品種に絞って、天然記念物を含む29種類の桜を植樹した「山桜の丘」なども設ける。オープンの際に行われた記者会見とシンポジウムに同大学の玉田俊郎教授が出演したことがきっかけで両者の間で交流が始まり、その後、同社コーポレートコミュニケーション部門広報担当の内田さんがサステナブルプロジェクト専攻領域でゲスト講師を担当。これを契機に、「造形大と何か一緒にイベントをできないか」と話が動き始めた。

 「10年以上にわたり、年賀CD-ROMという商品をメーン顧客である印刷会社へ販売してきた」と内田さん。同商品は年賀状を作る際に使われるデザインの素材集で、主として法人向けの年賀状を制作するために活用。そのため、「書店で売られているパーソナル向けの素材集に比べスタンダードなデザインが多く、使いやすさを重視して、あまりデザイン性の高いものは好まれない」という。そこで、この企業間の年賀状について学生のアイデアを募ることにした。

 プロジェクトが動き出したのは昨年7月。学生には事前にオリエンテーションを行い、「年賀状から、『NENGA』へ、『儀礼的な』年賀を『出したい』年賀にしよう」というテーマを与えた。「100年前の年賀状の実物を学生に見せたりして、この頃の年賀状の重み、価値をイメージしてもらった」と内田さん。来年の干支(えと)である蛇をモチーフにした「干支系」のほか、「文字系」「縁起系」「画像系」の4つのカテゴリーを設け、何点提出しても良いことにしたところ、最終的には約200点の作品が集まった。

 学内での1次選考の後、同社も含めてあらためて全作品を対象に2次選考を実施。「そのまま弊社の商品にできるようなデザインが多かった」と内田さん。選考に携わった同大の美澤修教授は「年賀状はグラフィックデザインとして難しい商品。買われる方と受け取る方の2つのお客さまを見る必要がある。学生たちが悩んだのもその点だったのでは」と講評した。

 商品化が決まった作品は6点。表彰式であいさつに立った同社の市瀬豊和社長は「(年賀状を)文化の一つの伝承としてサポートできればとCD-ROMを発売している。その中で、皆さんにお手伝いいただいた」と述べた上で、「デザインや想像することは今重要なこと。造形大と当工場は程近いので、今後ももの作りに協力いただければ」と今後への期待を述べた。

 同社が提供する山桜賞のほか、優秀賞、最優秀賞の3点を受賞した同専攻3年の佐藤さんは「まさか私の作品が入選するとは思っていなかった。私のデザインが皆さんに気に入ってもらえたこともうれしい」とコメント。「年賀状には毎年時間をかけている。何時間もかけ、送られた人が少しでもうれしい気持ちになったらいいな、と思って作った」とも。

 商品化が決まった作品については、5月21日に発売予定のCD-ROMに収められる予定。

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