東京都知事の付属機関である東京都防災会議は4月18日、東京湾や多摩直下、立川断層帯などを震源とした地震が発生した際の被害想定を見直し、発表した。
都防災会議では2006年5月に「首都直下地震による東京の被害想定」を発表。しかし、東日本大震災の際には都内でも液状化や大量の帰宅困難者が発生するなどさまざまな被害が見られたことから見直しを実施。これまで対象としていた東京湾を震源とするマグニチュード7.3の「東京湾北部地震」、「多摩直下地震」の2つの地震の再検討に加え、都内に大きな津波の被害を残したマグニチュード8クラスの「元禄型関東地震」、活断層によるものとしてマグニチュード7.4の「立川断層帯地震」の2つのモデルを加えて、発生した際の被害状況について検討を進めた。
新たに発表した被害想定では、地震のモデルやシチュエーションに合わせ、市区町村ごとに被害のシミュレーションも実施。「東京湾北部地震」が発生した際、八王子市では地域によって震度4~震度6弱の揺れが襲うと予測。人的被害は冬の18時、風速8メートルの時で、死者=14人、負傷者=342人、建物は全壊=174棟、半壊=2008棟と見積もったほか、114カ所の急傾斜地で崩壊が起きるとした。
多摩地域を襲う「多摩直下地震」の場合、市内の一部で最大震度7の揺れを観測すると予想。同条件の場合で、死者=443人、負傷者=5341人、建物全壊=7006棟、半壊=1万5992棟、急傾斜地崩壊=539カ所と算定した。このほか、「元禄型関東地震」では死者=215人、負傷者=3418人、建物全壊=3798棟、半壊=1万3295棟、急傾斜地崩壊=459カ所、「立川断層帯地震」では死者=275人、負傷者=3905人、建物全壊=4617棟、半壊=1万3581棟、急傾斜地崩壊=450カ所とそれぞれ見積もった。
避難生活者の人数については同条件の場合、「東京湾北部地震」で1万1047人の市民が避難生活を送ることになると計算。「多摩直下地震」では12万8646人、「元禄型関東地震」で9万7962人、「立川断層帯地震」で10万6673人とそれぞれ算出した。
ライフラインについては、東京湾北部地震=0.7%、多摩直下地震=15.1%、元禄型関東地震=7.8%、立川断層帯地震=9.6%で同条件の際に停電すると推定。このほか固定・携帯それぞれの電話の不通率やガス供給への支障率、上・下水道への影響、エレベーターの停止台数、震災に関わる廃棄物の量などについても計算した。
都では今後、今回の結果を踏まえて防災計画の修正に取り組む方針。