宿泊研修施設「八王子セミナーハウス」(八王子市下柚木)で10月14日、建物をスクリーンにして音楽や作品を投影するイベント「ProjectedScape(プロジェクテッド・スケープ)」が行われた。
同施設では8月から、宿泊用の小屋をアーティストに創作活動の場として無償で使ってもらう「アートビレッジ」を展開。今回のイベントは、その作品発表を兼ねて行われた。企画・ディレクションは、これまでに「磁性流体ビジュアライザ」など、さまざまな作品を生み出し、「アートビレッジ」にも参加するアーティストの藤本直明さん。
夕方から4時間にわたって行われた今回のイベント。逆ピラミッド型の建物として著名な同所本館をスクリーンに、建物の形状に合わせて映像を投影する「プロジェクションマッピング」を展開。藤本さんをはじめとした映像作家や音楽家など11組のアーティストと多摩美術大学メディア芸術コースの学生などが協力して行った。
「セミナーハウス全体を芸術的な雰囲気のある宿泊研修施設にしようというのが『アートビレッジ』のコンセプト」と同総合戦略グループ課長の池田さん。「単にアトリエとして貸す事が目的ではなく、創作活動を通して、お互いに刺激しあう事も目的の一つ。一人でも多くのアーティストの皆さんが関わってもらうことがきっかけとなって、さらにこの場所を使っていただくことにつながる」と期待を寄せる。
当日は建物の前に300人以上が集まり鑑賞。中には、寝転がって見上げるように鑑賞する人もいた。リアルタイムに音楽を生成しながら、建物の前に立った人を捉えて影として投影する作品などインタラクティブな作品も数多く登場。「一般の方々に見ていただけたのは良かった」と藤本さん。「デジタルパブリックアートをやっているので、美術ファンや電子音楽のファンだけでなく、一般の人々に来ていただけたのはとてもいい」とも。「次はドーム映像を行いたい」と新たな構想も進めており、「あらかじめ作った映像を上映するのではなく、観客参加型のインタラクティブなものを展開したい。そういうドーム映像ができればすごくいいのでは」と意気込む。
「八王子セミナーハウス」は大学間を超えて利用できる施設として、1965(昭和40)年に開館。宿泊可能な91室のほか、講堂、セミナー室などを設ける。公益財団法人大学セミナーハウス(下柚木)が運営。国公立、私立大学、企業などが会員となって支援しており、オリエンテーション、研修、サークル活動などに使われているほか、留学生を対象とした住居の提供なども行っている。