市と地元の商店会が協力して運営してきたイベントスペース「はちラボ」(八王子市八日町)が8月27日、その役割を終え、商店街の枠を越えて活動する「まちづくり実験チーム」として生まれ変わった。
NTT東日本八日町ビル(八日町)の空きテナントを活用して誕生した「はちラボ」。昨年8月の「八王子まつり」の開催に合わせ、「八日町まちづくり実験室」として初めてのイベントが行われ、12月には「はちラボ」として正式オープン。アートイベント「AKITEN(アキテン)」の会場にもなったほか、今年の「八王子まつり」では、東京工科大学(片倉町)メディア学部の学生らがデジタルサイネージを使った物産展を開くなど多角的に催しを行ってきた。
「はちラボ」の運営は、市と地元の商店会・八日町商店街振興組合がNTT東日本との間で賃貸契約を締結するなど、地元活性化を狙って進められてきた。「今までの空き店舗対策はどちらかというと物を売る、サービスを提供するようなものが多かった」と話すのは、運営に関わってきたカトウ洋品店(八日町)の加藤さん。「情報発信的な基地として使えたことは正解だったと思う」としたうえで、「ここでのイベントは商店街に必ず還元できると思っているし、実験結果として、こういった企業の空き店舗利用も方法として不可能ではないと証明することができた」と話す。
場所としての「はちラボ」は無くなったが、今後も、さまざまな街づくりに関する取り組みを行っていく「実験チーム」として活動は続ける方針。「はちラボ」のフェイスブックでも、「もともとがスペースありきの実験チームではない」として、「場所がなくてもまったく問題はありません」と新たな展開に向けて決意を新たにする。
初のイベントとなった昨年の「八王子まつり」で鉄道模型を走らせたことを、「子どもから高齢の方まで興味を持っていただけた」と振り返る加藤さん。「駅長役を務めてくれた西川さんも、そのことを目を輝かせて楽しそうに話してくれた」。あれから1年がたち、「NTTが無償で場所を提供してくれたことには非常に感謝しているし、個人ではできないことを市の担当者も理解し、商店街の皆さんも『人が来てくれるなら』と協力をしてくれたことも非常に大きかった」と感謝の気持ちを隠さない。
今後は八王子全体も視野に入れて活動を進める「はちラボ」。加藤さんは「誰かが一言、『これをやりたいから、この指止まれ』と言えばそこが新たなスタートになるはず」と新たな展開に期待を寄せる。