多摩美術大学(八王子キャンパス=八王子市鑓水)と東京大学(文京区)によるアート活動への利用を目的とした超小型衛星「INVADER(インベーダー)」が搭載されたH2-Aロケット23号機が2月28日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。
同衛星は、1辺10センチ、重さ1.8キロの超小型人工衛星「CubeSat(キューブサット)」と呼ばれるもの。人工衛星をアートの分野に活用しようと多摩美大情報デザイン学科の久保田晃弘教授を中心に進められている「衛星芸術プロジェクト」が手掛けたもので、同プロジェクトでは「世界初の芸術衛星」とうたう。今回は全球降水観測衛星「GPM」の打ち上げに「相乗り」する形で搭載された。
ロケットは同日3時37分に打ち上げられ、発射から15分49秒後にメーンの人工衛星である「GPM」が切り離された後、相乗りしていた人工衛星を順々に分離。「INVADER」は打ち上げから39分19秒後、高度408キロの地点で切り離された。
多摩美大八王子キャンパスでは打ち上げに合わせてパブリックビューイングが開かれ、その模様はユーストリームでも中継されるなど盛り上がった。「衛星が打ち上げられてから半日たった。予断を許さない状況ではあるが、アンテナが正常に動き、地上局とデータを送受信できる状態にあることが分かり、ひとまず安心している」と久保田教授。
今後は同キャンパスで人工衛星をコントロールする地上局を運用し、さまざまなアート活動などに用いていく予定。「今後は電源の収支が成立し、恒常的に地球を回っていくかどうかが課題」とした上で、「宇宙に漂い始めたばかりの『芸術衛星INVEDER』を、チームが一丸となって運営していきたい」と意気込む。