工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーカープロジェクト」が8月12日、秋田県大潟村で行われていた「ワールド・グリーン・チャレンジ2014」でチャンピオンに輝いた。
今月9日から大潟村ソーラースポーツライン(秋田県大潟村)を会場に行われた同レース。1周25キロのコースを3日間、24時間走って総走行距離を競うもので、同プロジェクトはソーラーカー部門「チャレンジャークラス」に参戦。チーム設立6年目となる今回は学生34人でレースに挑んだ。
台風11号の影響で初日の10日、2日目の11日とそれぞれレースが中止となり波乱の幕開けとなった今大会。同大のチームメンバーは、レースの開催に向け準備を進めながら、2日目と3日目早朝にはコースの排水作業にも協力。グラウンド整備道具の「トンボ」を製作するなどサポートも行った。
「大人数で来たこともあり、大会ができるように最大限の協力をしようとメンバー一同頑張った」と学生代表でチームリーダーの斉藤さん。同大会競技長の土井博文さんは「皆さんが気持ちよくレースができるようコース作りに手伝っていただき、すごくありがたかった。ボランティアで頑張っていただいた」と感謝の念を隠さない。
レースは大会最終日の12日のみ実施。8時~16時までの8時間での決戦となった。同大はスタート当初から順調に滑り出しクラス1位に。2位以下とは約1周の差を付けるなど好調のまま展開し、11周を走ってチャンピオンのほか、部門優勝、クラス優勝、大潟村長賞など各賞を手にした。「1日目、2日目とつぶれて、最終日にようやくレースができた。無事に走りきり、優勝という結果が残せたのが本当にうれしい」と斉藤さん。
今大会は昨年、オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断する「ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」で使用したソーラーカー「Practice(プラクティス)」を、さらにブラッシュアップして挑戦。レギュレーションが変わりバッテリー容量がこれまでの3分の1の5キロとなっていたほか、レース後半は曇り空に覆われたこともあり、「思うような発電ができず、エネルギーマネジメントには苦戦した」と斉藤さん。「空力デバイスに改良を加え、エネルギー損失が改善したことが効いて、11周という記録を出すことができた」と振り返る。
「今回の優勝は、チームにとってとても価値のあるもの」とプロジェクトの代表を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授。「ミスをしないよう最初からセッティングしたこととエネルギーマネジメントが今回の勝利の要因」とも。
「40人余りが集まり、キャンプをしながら乗り切ったことはオーストラリアを目指す練習になった」としたうえで、来年開催のWSCへ向けて、「オーストラリアには我々の設計思想に近い、世界がびっくりするような車で出場したい」と意気込む。