多摩地区最大の山車祭り「八王子まつり」が8月5日から始まるのに合わせ、スマートフォンなどの位置情報を活用した取り組みが複数進んでいる。
東京工科大学メディア学部は「Musicinvitee」を使った情報配信を用意
今月7日までの3日間にわたって行われる同祭り。甲州街道(国道20号)をメーン会場に山車やみこし、民謡流しやパレードなどが繰り広げられ、昨年は約77万5000人もの観客が訪れた。
八王子まつり実行委員会では、産業活性化組織「サイバーシルクロード八王子」(八王子市明神町2)と協力し、各町会の山車の現在位置を知ることができるサービス「山車ここ!」を提供。
山車に取り付けたGPS発信機を手掛かりに、閲覧するスマートフォンの位置情報と組み合わせて表示するもので、各町会の名称と合わせて文様をアイコンとして表示。アイコンをクリックすると、山車の写真や説明などを見ることができる。
ITを使って祭りを盛り上げようと企画。フリーの地図情報データプロジェクト「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」の地図を活用し、スマートフォンの小さな画面でも見られるよう表示に工夫を施したほか、コンビニやトイレなど祭り当日に必要となりそうな場所も図示。個人情報を取得せずに多くの人に使ってもらおうと、ブラウザーで使えるものにした。
「70万人も来るので、土地勘がない人だとパンフレットの文章だけではどこに行けばいいかわからない。その辺りをサポートしていきたい」と開発を手掛けたバディワークス(楢原町)の木下晋伍社長。期間中は山車が巡行する夕方から夜にかけてサービスを提供する予定で、「山車ファンで写真を撮っているような方は、このサービスを使っていただいて、山車のフルコンプリートを目指していただければ」と話す。
東京工科大学(片倉町)メディア学部では、次世代広告の研究の一環として、山車に置いたビーコンとスマートフォン向けアプリを使って、それぞれの山車の歴史などの情報がスマートフォンで受け取れる実証実験の準備を進めている。
同学部が研究開発を行っている音楽情報キュレーションプラットフォーム「Musicinvitee(ミュージックインビティー)」を活用。今回はスマートフォンが山車の半径30メートル以内に近づいた際に、自動的に情報を配信する。山車がいつ建造されたかや構造、乗っている人形の紹介など多岐にわたり、目の前の山車の情報をリアルタイムで知ることができる。
「スマホを使う若い世代に祭りを身近に感じてもらえるのでは」と同大講師の吉岡英樹さん。「私も祭りに参加していて、関係者から山車の歴史を聞く機会があり、とても興味深く感じたし、歴史を知ることで八王子まつりにさらに興味を持った。ビーコンとアプリの仕組みを使えば目の前にある山車の歴史が分かるので、体験を通じて直感的に情報がつながり、祭りをさらに知ってもらうことにつながる」とも。
「山車に近づくだけで八王子まつりの歴史などを簡単に知ることができ、お祭りをさらに楽しむことができる。とても簡単なので一度使ってみてほしい」と吉岡さん。アプリはiOS 7.0以降、Android 4.3以上に対応する。ダウンロード無料。