八王子市内を通る甲州街道(国道20号)「本郷横丁東」交差点近くの銭湯「松の湯」(八王子市小門町)が10月30日に閉店することとなり、話題となっている。
1954(昭和29)年創業の同店。八王子に3店ある銭湯のうちの一つで、八王子駅と西八王子駅のちょうど中間に位置する。露天風呂やサウナなどを備える。
10月に入り、店横の掲示板に「閉店のお知らせ」と書かれた張り紙が掲出された。今月いっぱいで閉店する旨に加え、「地域の皆さまに支えられて62年間営業を続けてまいりましたが、諸般の事情により閉店を余儀なくされましたことを深くお詫びしますとともに、これまでのご愛浴たまわりました皆さまには心より感謝申し上げます」と常連客への感謝の言葉も添えられている。
これに対し、閉店を惜しむ利用者が署名運動を開始。「やめないでください」などと店にメッセージを残す人も現れている。ネットでも「廃業、残念」「市民のためにも続いてほしい」「悲しすぎる」「あと何回来られるかな」「今年一番のショック」(以上、原文ママ)などと惜しむ声が上がっている。
週に1度は市内の銭湯に行くというレストランバー「SCENE」(明神町4)マネジャーの吉見直高さんも閉店を惜しむ一人。「深井戸からくみ上げる湯は熱湯でもやわらかく子どもにも優しい。息子も松の湯のお湯は大好きだったので、銭湯を閉めるのを聞いてものすごく残念そうだった。『もう使わないから』と頂いたアヒルはいつも吉見家のお風呂で子どもたちを見守っている」とも。
閉店後、市内の銭湯は福の湯(本町)と稲荷湯(子安町1)の2店になる。吉見さんは「ほんの一握りだとは思うが、日常の不便を訴える方にとっては大変。災害時、上水道が使えなくなった時の公衆衛生にも地下水をくみ上げる銭湯は役に立つはず。古き時代のレガシーが消えてゆくさまが寂しい」と話す。
営業時間は14時~24時。