八王子市が2月3日、生成AI(人工知能)を活用した福祉のオンライン相談窓口「はちココ」の実証実験を始めた。
今回は「AI傾聴窓口」として、福祉にまつわる生活の困りごとや悩みを聴き、必要に応じて八王子市が設けている相談窓口を案内する。福祉分野でAIを活用した傾聴の窓口を設けるのは「都内自治体初」とうたう。
悩みを抱えていたり孤独・孤立状態にあったり、引きこもりなどで対面や電話で窓口に相談できない人を対象にする。相談者は八王子市のウェブサイトなどからアクセスし、匿名でチャット形式の対話をする。今回のAIは話し相手と位置付けており、チャットの中で相談事の解決などにはかかわらない。
終了時に相談者の住所を尋ねることで、八王子市内13カ所にある「八王子まるごとサポートセンター はちまるサポート」や「若者総合相談センター」など近隣の相談窓口を紹介する。
八王子市は、傾聴AIアルゴリズムの研究開発などを行っているスタートアップ企業のZIAI(渋谷区)と協定を締結した。今回は同社が提供する傾聴や共感に特化した「対話AIアルゴリズム」を活用し、期間限定でサービスを提供する。実証期間中、八王子市の費用負担はない。
初宿和夫八王子市長は「八王子市では『はちまるサポート』を設けて、分野横断的な相談体勢を取ってきたが、窓口に来ることができず、潜在的な悩みを抱える孤独・孤立状態にある方々とのつながりにくさが新たな課題となった。今、私たちが救いたいのはどこにも相談できず、孤独・孤立の状態にある人たちで、こういった方々に手を差し伸べたい。福祉に特化していることが特徴。孤独・孤立にある方が1人でも『はちまるサポート』につながったら、それで成果があったと言える」と話す。
実証実験は4月30日まで。