
高尾駅北口周辺で8月23日、小型バスを使った自動運転実証運行が始まった。
自動運転技術を活用した都市づくりとして東京都が進める「令和7年度自動運転サービスの導入推進に向けた走行環境整備に関するプロジェクト」の一環。
事業主体は東京都で、バスの運行は西東京バス(八王子市明神町3)が行う。自動運転バスのサービス実装などを手がけるBOLDLY(港区)の小型EVバス「E-City L6」を使い、高尾駅北口~高尾台住宅間の「住01」系統を基にしたコースで運行する。自動運転のレベルは運転手が搭乗する「レベル2」。バスの全長は約6メートルで、乗車定員は12人。
実証実験の開始に先立ち、8月22日には関係者による試乗会が行われた。初宿和夫八王子市長らが乗車した回では自動運転中、車内に設置されているモニターには「自動」と表示され、運転手もハンドルの下に手を添えるだけで運行した。一部区間や路上駐車があるなどとっさの場合は手動運転に切り替えられ、片道を約10分かけて目的地まで走った。
試乗した初宿市長は「既存のバス路線でのAIを使った自動運転ということで、非常に期待していた。実際に乗ってみて、ここまでできるのかと思った。直線、カーブともスムーズだったし、危険な箇所での認識もしっかりしていた。乗り心地も良かった。シートベルトは付けたが不安になる場面はなかった。実験としてはよくできたと思う」と話す。
「道路が広いところがあれば狭いところもあるなど都心とは違う難しさがある。西東京バスはチャレンジをしてくれた。まだ始まったばかりということで、ブレーキのかけ方などぎこちなさはあった。私たち人間も未経験であればぎこちなさは伴うもの。社会実装に向けての取り組みの中で、経験を積む初期の段階で乗ることができたのは貴重な体験となった。次に乗るときにはもっと学習されたものになるだろうと期待を持てた」とも。
西東京バスでは今後、今回の実証実験で使う車両と性能が同等の小型EVバスを購入し、国への認可申請などの手続きを行った上で、今冬にも自動運転バスの通年運行を始めることを目指している。当初は「レベル2」で運行し、将来的にはシステムによって運行し運転手は搭乗しない「レベル4」での運用を見込む。
西東京バスの高木保社長は「今は手動に切り替えざるをえない箇所がある。いろいろな障壁を乗り越えていかなければいけない。これからも八王子の市民の皆さんの足を守り続けながら、乗務員不足という課題を解決する有効的方法の一つとして、完全自動運転を目指して、チャレンジをしていきたい。まずはこの実証実験の結果を冬の通年運行に向けて生かせれば」と話す。
期間中、10時~16時30分ごろまで、1日9便運行する。運行ダイヤは同プロジェクトの公式ウェブサイトで公開する。乗車無料。8月31日まで。